特集2021.11.11

知られざるスポーツをバズらせたい!「マイナー競技認知度爆上祭」の発起人が語る言葉の真意とは?

日本国内には、世界で活躍しているにもかかわらず、まったく知られていない競技や選手たちの存在があります。そんなマイナースポーツやアスリートが知られる機会を作りたいと活動しているのが、ボルダリングジム「大塚BEAM」を中心に集まる方々です。

そのプロジェクトを牽引しているのが、今回インタビューをさせていただいた渡邊史郎さん。スポーツトレーナーを本業としながら、なぜスポーツの普及活動に励んでいるのか、お話しを伺いました。

マイナースポーツの認知度で感じた世間とのギャップ

渡邊さんがなぜスポーツに携わる活動をされているのか、ぜひ理由と経緯について教えてください!

父親がボート選手だったことを機に高校でボート部に所属したところのめり込み、大学では全国出場を目指すようなレベルの部活動で毎日合宿をしていました。社会人としては指導者の立場も経験し、25歳で国体強化を務め、27歳の時に国体優勝に携わらせて頂きました。
その後、スポーツトレーナーとして独立した際、自己紹介で「ボートをやってきました」と言うと、相手の目が点になったんです。自分にとっては超メジャーだった競技が、周囲にとってはマイナーなスポーツであることを知った瞬間でした。
自分のことはどうでもいいのですが、人生をボート競技に懸けてきた教え子達や、第一線で活躍している日本代表選手だけでなく、競技の存在すら知らない、もしくはカヌーやヨットなど別競技とよく間違われることに衝撃を受けました。

まさに渡邊さんにとっても、転機があったわけですね。活動を本格的にスタートしようと思ったきっかけは何だったのですか?

新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけでしたね。2020年に世の中のスポーツ活動が一気に止まってしまい、自分の仕事も減ったので、暇になったんです。そこで「今できること」を考えたとき、「試合ができなくても、スポーツのPR活動はできるのではないか?」と思ったんです。深く競技に関わっていたボートはもちろん、水球やハンドボールの友人に一緒にPRしませんか?と呼びかけたんです。
その流れで生まれたのが、「マイナー競技認知度爆上祭」というイベントです。まずは30競技を集めてみようと行動に移したところ、紹介に次ぐ紹介で予想以上にどんどん人が集まりました。爆発的に知り合いが増えましたね(笑)

競技同士が交流!可能性を感じた「マイナー競技認知度爆上祭」

マイナー競技認知度爆上祭の様子(提供:渡邊史郎さん)

あまり表立っていなかっただけで、PR活動のニーズはかなりあったんですね!その「マイナー競技認知度爆上祭』はいつ実施され、どんなことをしたのですか?

今年の2月28日ですね。ユニフォームを着た全31競技のアスリートたちがお祭りの屋台のようにズラッと並び、長机に自分たちの競技で使用するアイテムをディスプレイして、来てくださった方々に競技をPRする感じです。

すごい!とても楽しそうですね!そこにいらっしゃった来場者はどのように募ったんですか?

これまで7年間、トレーナーや整体の仕事を続けてきて、ずっと紹介によるつながりでお客さまに来ていただいています。おかげさまで、知り合いがたくさんいるんですよね。
私はSNSなどで自分のことをPRすることが苦手なので、不特定多数の方に自身の情報を発信することはしなかったのですが、広告も出さずにこれだけ多くの方と接点を持つことができました。現在、直接連絡を取れる知り合いが3,000人程いて、『マイナー競技認知度爆上祭』を呼びかけた際に、その方々が中心にきてくださいました。

知り合いだからこそ、お互いの親和性も非常に高そうですね!実際にやってみてどうでしたか?

めちゃめちゃ居心地のいい空間でした!アスリートのみなさんもすごくいきいきした表情をされていましたね。最も嬉しかったことは、そのイベントに関わった人たちに横のつながりができたことです。例えば、モルックと、ボートと、ラクロスの選手が同じ空間にいることってなかなかないですよね。国体やオリンピックの開会式でも複数の競技が集まりますが、そこにない競技も今回はたくさん集まっていますからね。
イベント後も私の知らない範囲でも、競技同士の交流が行われていたようで、それがとても嬉しかったですね。
第2回もすでに企画していて、50競技以上が参加し1,000名を超える来場者を見込んで細かい部分を決めていっています。

さらに大きな規模に……!ますます今後の展開が楽しみですね!

さまざまな競技が集う「BEAM~Toshima Bouldering Studio~」をマイナースポーツの中心に!

大塚BEAM 内観

「マイナー競技認知度爆上祭」がきっかけで「大塚BEAM」と繋がったと伺ったのですが、ここを始めようと思った経緯を教えていただけますか?

コロナが原因で「大塚BEAM」のボルダリング場が1年以上使われない施設になっていたようです。そこで、「何かマイナースポーツでできないか?」と相談を受けたのがきっかけでした。私自身は、活動できる場所を探しているアスリートと数多く知り合いだったので、その両者をマッチングさせたような形ですね。現時点では12競技の方々が体験教室を開いてくれています。

具体的には、その12競技の方々がどのような活動をされているのですか?

各競技の日本代表クラスの選手もしくは指導者にお越しいただき、体験会やスクールを実施しています。こんなに日本代表クラスが来る施設は、なかなか無いですでしょう(笑)
いろんな教室を一日中やっているので、「ラクロス教室」のあとに「バク転教室」に参加できることもできます。例えばその際、ラクロスの元日本代表監督が男子新体操全日本4連覇の元選手とすれ違って挨拶をするんです。普段ならつながらない競技同士の交流が生まれています。お客さま同士も先生同士もつながれる場なんですよね。

来場された人にとっては、忘れられないような日になりますよね!ちなみに、渡邊さんは今後「大塚BEAM」をどんな場所にしていきたいですか?

なかなか出会えないアスリート同士のつながりの場であり、アスリート達の特技に経済的価値がついて欲しいとも思っています。日本代表として活動する傍ら、アルバイトで活動費をつくっている選手もいますから。知られざるスポーツの魅力や面白さが伝わる場所になったらいいなと思っています。

今後、自走していけるビジネスモデルを考えるきっかけになりますね。

そうですね!前例の無いものですから、まずは少しずつ感覚を掴んでいって、アスリートが特技を活かしたビジネスモデルを創っていくための練習場所として「大塚BEAM」を活用してもらいたいと思います。

最後に、渡邊さん個人の今後の展望を教えてください!

アスリートの価値を高めたいですね。まず人に知ってもらって、得意なことを使ってたくさんの人を喜ばせて、活動の範囲を広めていってもらいたいです。なかなか実現するのは難しいことですが、爆上祭や大塚BEAMの実例をもとにして、いろんな人がアスリートのためになる仕組みを作っていってもらってもおもしろいだろうなと考えています。
あとは、「会社で居場所がない」「仕事がつまらない」という方々も、「大塚BEAM」がきっかけで生きがいを見つけられるといいなと思っています。自分も小学生のときに「自分はスポーツができない」と決めつけてしまいましたが、それはそのときに出会った競技が苦手だっただけで、ボート競技では監督業まで就くことができていますから(笑)マイナースポーツには、そんな可能性も感じています。

取材後記

メジャースポーツに比べ、なかなか接点の少ないマイナースポーツも、複数のアスリートが一緒になって行動に移すことで解決できる課題もあります。その活動の中心として、たくさんのスポーツやアスリートのハブとなっている渡邊さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

「大塚BEAM」発信で、マイナースポーツがバズる日はそう遠くない未来だと感じる取材でした。ぜひ記事をご覧のみなさまも、「大塚BEAM」や「マイナー競技認知度爆上祭」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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(第2回用にリニューアル予定)

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