特集2022.06.01

アスリートの可能性をもっと社会に!NewSPO.小澤CEOが描く社会貢献のカタチ

アスリートの価値とスポーツの可能性を社会に役立てようと、企業で働く従業員の健康面をサポートする「アスリートによる健康経営プロジェクト」を立ちあげたNewSPO.小澤剣人さん。誰よりもアスリートの可能性とスポーツの力を信じる小澤さんにも、かつてJリーガーの夢を追いかけた経験がありました。自身の経験を通じて味わったスポーツ界の「現実」を次世代にどう引き継ぎ、社会に役立ててゆくのか。実際にこのプロジェクトを導入している飯塚製作所代表取締役副社長の飯塚智さんも交え、お話を伺いました。

「Jリーガーになる!」サッカーに集中した学生時代

はじめにNewSPO.と小澤さんのキャリアについて教えてください。

小澤さん:弊社では大阪府を拠点に、アスリートのマネジメントやスポーツチームのユニフォームやグッズ制作、ホームページ作成や写真映像関係の撮影など、アスリートの活動全般に関するバックアップを行っています。その一環として、弊社所属のアスリートや講師陣が企業を訪問し、トレーニング法や食事指導、体のケアなどをアドバイスさせて頂く「アスリートによる健康経営プロジェクト」を通じて社会貢献活動を行っています。僕自身、Jリーガーを目指し、幼い頃からずっとサッカーに集中してきました。ですが、大学卒業を前にプロへの道が閉ざされてしまい、将来への大きな不安に直面してしまった経験があります。それをきっかけに、大学時代に保険の代理店という形で起業し、20代の約10年間はファイナンシャルプランナーとして、アスリートが抱える経済面の課題をサポートしてきました。

▲サッカー一筋だった学生時代(小澤さんご提供)

様々な選択肢がある中、なぜ起業の道を選ばれたのですか。

小澤さん:Jリーガーになる夢を実現できなかった「悔しさ」がバネになったことは言うまでもありません。ただ、脇目も振らずJリーガーだけを目指していた時期から、次のキャリアについては明確に描いていたんです。Jリーガーとして知名度と経済力を得て、会社を設立し、引退後には経営者になろうと。なので、Jリーガーとしてのキャリアを挟まず、すぐに次のキャリアに着手してしまおうという感覚でした。

きっかけは+20キロ!?健康こそ効率アップのカギ

飯塚さんはどういった経緯で小澤さんにサポートを依頼することになったんでしょうか。

飯塚さん:私自身、ストレスや暴飲暴食が原因で約20㎏程太っていた時期があったんです。「これではいけない」とジョギングを始め、今ではフルマラソンに挑戦できるほどになり、心身の健康は仕事への充実度や生産性を高めてくれるということを実感しました。飯塚製作所では、奈良県と鹿児島県を拠点に自動車部品を製造しており、約200名の社員が勤務しています。会社全体で「健康であることの大切さ」を共有したいと考え、小澤さんにご協力頂くことになりました。アスリートや講師の方から呼吸法を教えて頂いたり、コミュニケーションスキル向上のための実践的なアプローチを通じて、従業員同士で新たな発見もたくさんあったようで、早速、効果を実感しています。

▲フルマラソンに参加する飯塚さん(飯塚さんご提供)

アスリートの「最強スキル」を社会で活かす

小澤さんと飯塚さんを繋いだ「アスリートによる健康経営プロジェクト」について詳しく教えてください。

小澤さん:月1回程のペースで1年間、弊社所属のアスリートや講師陣が、企業で働く皆さんの健康をサポートをさせて頂くプログラムです。飯塚製作所様の場合、パーソナルトレーニングとメンタルコーチングを専門とする元アスリートが、呼吸法や食事・睡眠指導といった「フィジカル」とコミュニケーションをテーマにした「メンタル」からのアプローチをさせて頂きました。特に、コミュニケーションスキルを磨くことは企業活動において大変重要だと考えています。人はそれぞれ異なった個性をもっていますが、探してみると実に多くの共通点があるんです。その共通点がいつしか共感に変わり、コミュニケーションの潤滑油になってゆきます。特に、同じ企業に属している方々は多くの共通点が見つかりやすいコミュニティなので、一人一人のコミュニケーション能力が向上すると、互いに共感を得られやすく、生産性も上がりやすいという特徴があるんです。フィジカルとメンタルは別物のように捉えられることもありますが、限りなく密接に関わっています。特にチームスポーツではコミュニケーションが必要不可欠。なので、アスリートはコミュニケーションスキルが自ずと高められやすいんです。アスリートにはフィジカル面だけでなく、コミュニケーションスキルについても十分な素養があると思っています。

▲レクチャーを受ける飯塚製作所の皆さんの様子(小澤さんご提供)

飯塚さん:アスリートとしての経験に基づいた知識を効果的に取り入れられる満足感もありますが、やはりアスリートが来てくださるという特別感も一入です。日頃、なかなかお会いできないような方と接することができるので、従業員一同とても楽しみにしています。1年と言わず、これからもお世話になりたいと思っています。

小澤さん:ありがとうございます。今後、特に力をいれてサポートさせて頂こうと考えているのが「集中力」についてです。集中力を発揮するためには「集中する」という状態を実際に体験してもらう必要があります。それが分かると、効率的に集中することができるようになってきます。この「効率的に集中する」という感覚を、生産性向上にしっかり繋げていただけるよう、サポートさせて頂きたいと思っています。

「あたりまえ」が世の中の役に立つという手応え

アスリートや講師の方々はこのプロジェクトについてどのように感じているのでしょうか。

小澤さん:アドバイスをさせて頂く立場でありながら、学ぶことがたくさんあるようです。アスリートと会社員の方は、日常の中で接する機会に恵まれにくい。自ずとアスリート同士の交流が盛んになってしまいがちだからこそ、違う業界で働く方々の価値観や思考を肌で感じる機会を頂いていることにとても感謝しています。また、アスリートが日頃から行っているようなことが、企業で働かれている方々にとっては大変新鮮に感じられることもあるそうで…。自分達がアスリートとして培ってきた「あたりまえ」が人の役に立つこともあるんだ、とやりがいを感じているようです。


▲「アスリートによる健康経営プロジェクト」の様子(小澤さんご提供)

応援こそがアスリートの源

双方にとって貴重な交流の場となっているんですね。これからの健康経営についてのビジョンを教えてください。

小澤さん:企業で働く皆さんを健康面からサポートさせて頂くと同時に、プロジェクトを通じてマイナースポーツを頑張るアスリートの社会貢献活動や価値向上を推進していくということも重要だと考えています。このプロジェクトは、アスリートにとっても自分達を応援してもらうきっかけに繋がると思っているので、アスリートと企業様、双方にとってプラスになっているということを実感していただけたら嬉しいです。

あえて「マイナースポーツ」と掲げているのには、理由があるんでしょうか。

小澤さん:例えば、大谷翔平選手や本田圭佑さん、三浦知良選手といったメジャースポーツにおいて最高峰のレベルまで到達された上に、知名度や影響力までもっているアスリートというのは、ほんの一握りなんですよね。その他のアスリートというのは引退後に資産を持てなかったり、思うように人気が出なかったりと、大変苦労するんです。トップオブトップのアスリートの華やかさに注目が集まりがちですが、それ以外の選手をサポートしていくことが、スポーツ界全体にいい影響を与えられるんじゃないかと考えています。

飯塚さん:私達はスポーツ界の華やかな一面しか知らなかったんですね。一流を目指す半ば、そういった現実に直面して道を逸れてしまう可能性も考えられますよね。そうすれば、アスリートを夢見る子供達の芽を摘むことにも繋がってしまいかねない。苦しい現実の中でもアスリートが一筋の光を見つけていけるようなNewSPO.のビジョンと取り組みに、強く共感します。

子どもたちが夢を描けるスポーツ界とアスリート像を

小澤さんの今後の全体的なビジョンを教えてください。

小澤さん:現在もアスリートを目指して頑張っている子供達がたくさんいます。そういった子供達が晴れてプロになれた時、厳しい現実に直面してがっかりしてほしくないんです。そういった意味で、現実的な課題解決と共に、大人達がアスリートの現実を次世代にしっかり伝えていくということも大切なことだと思っています。オリンピックやワールドカップを観て、感動や勇気をもらい、「スポーツにしか与えられないものがある」と言われることもありますよね。でも、その片隅で路頭に迷ってしまうアスリート達も大勢いるわけで。こんなに残酷な世界で良いのか、と僕は思うんです。アスリート達が人々の健康増進をサポートしていくことは、彼らが本来持っている可能性をしっかり社会に還元していくことでもあります。社会全体の課題解決に繋がるような取り組みにこれからも力をいれていきたいです。

最後にGrowSを見て下さる方にメッセージをお願いします。

小澤さん:スポーツの力とアスリートの可能性というものを感じていただけたら嬉しいです。そのためにも、「アスリートによる健康経営プロジェクト」を一人でも多くの方に知っていただき、皆さんの健康増進に貢献できるような機会を増やしていけたらと思っています。

▲NewSPO.の皆さん(小澤さん(前列1番右)ご提供)

取材後記

「現実を直視するからこそ描ける夢がある」ということを、あらためて教えて頂きました。小澤さんの、どんな状況でも一筋の光を掴もうという自分を信じる逞しさと次世代への熱き想いは、これからもきっと多くのアスリート達の背中を押していかれることでしょう。今後のご活躍とスポーツ界への取り組みに、益々目が離せません!

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株式会社NewSPO.

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