特集2022.03.24

スポーツを通じて沿線エリアへの愛着心を醸成。南海電鉄と堺ブレイザーズが地域密着を推進する意義

企業チームから地域密着型のクラブチームへといち早く移行し、大阪府堺市で愛され続けるバレーボールチーム堺ブレイザーズ。
「コミュニティづくり(ファンづくり)」を通して地域社会の発展を目指しているチームを支えるステークホルダー(関係者)の視点から掘り下げていく連載企画の第3弾。今回、取り上げるのはパートナーシップ契約を結ぶ南海電鉄です。
堺ブレイザーズが本拠地を置く堺市に路線を持ち、2月26日・27日には「南海コラボデー」と銘打ち、堺ブレイザーズのホームゲームをスポンサード。
南海電鉄が堺ブレイザーズに期待すること、具体的な取り組みを南海電鉄:ブランド統括部 広告宣伝担当の松本実咲さんに伺ってきました。
インタビューするのは、“ラジねえ。”こと上羽悠雅。
「南海コラボデー」当日は、堺ブレイザーズの試合を初観戦。その模様もレポートします!!

堺の地で高まるスポーツ×企業による地域活性化

ラジねえ。: 堺ブレイザーズとは、今回の「南海コラボデー」開催などパートナーシップ関係として様々な取り組みを行っていますが、どのような経緯で一緒に活動をするようになったのでしょうか。

松本:私が入社する前の話になりますが、2009年、当時の中期経営計画の基本方針として「沿線活性化の推進」が掲げられていました。その中の具体的な取り組みとして、沿線にあるトップレベルのバレーボールチームである堺ブレイザーズさんにご協力いただき、スポーツ振興事業を実施することになったところが始まりです。選手の方に沿線の中学校の男子バレーボール部を直接指導していただく「コーチングキャラバン」や大阪府立体育会館でのバレーボール大会をこれまで開催してきました。

ラジねえ。:会社として地域により深く接点を持つために、堺ブレイザーズさんに声をかけたということですね。

松本:はい。ただ新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ここ2年そういった取り組みもできていなかったんです。そんな中、2021年の春に堺市立大浜体育館がリニューアルオープンして、それに伴い「大浜体育館魅力創出事業実行委員会」が堺市さん、堺ブレイザーズさん、弊社ほかの間で立ち上がり、一緒に盛り上げていこうという機運が高まっていきました。その中で改めてパートナーシップ契約を締結させていただくことになりました。

今年度は南海線 堺駅に選手を招いて1日駅長イベントを行ったのですが、その時のことが私としては印象に残っていますね。コロナ禍なので、基本的にはメディア向けのイベントで、一般の方はたまたまその場にいた方しか見られなかったのですが、その中にブレイザーズの大ファンの親子がいたんです。
選手が出発合図やパネルとの写真撮影などをしているのをずっとご覧になっていて、時間が空いた時にお母さんが、「娘がすごいファンなので選手と写真を撮らせてほしいんですけど…」と声をかけて下さって…。チームの方から快くOKいただいたので、対応してもらいました。娘さんは感激のあまり泣いていました。そういう場に立ち会うことができ、泣くほど喜んでもらえるようなイベントができたというのは、担当としても非常に嬉しかったです。

当社単独の取り組みだけでなく、京阪電車さんとの相互プロモーション施策『ええとこどりプロジェクト』では、現在「パナソニック パンサーズ×堺ブレイザーズ ホームタウン枚方&堺ええとこキャンペーン」を実施しています。このプロジェクトは、京阪・南海それぞれの沿線の魅力を連携して発信していく取り組みで、2008年から展開しています。京阪電車さんも、沿線の枚方市を拠点とするパナソニック パンサーズさんとパートナーシップ協定を締結されたとお伺いし、4者でコラボレーション企画を実施してみようという話になったんです。企画では、各チームの選手がそれぞれのホームタウンのPR動画を京阪・南海のSNSで配信したり、ホームゲームを観戦すると選手のサイン入りグッズがあたるキャンペーンなどを実施したりしています。私たちとしても、こうした新たな展開ができたというのがすごくよかったと思っていますし、バレーボールチームのファンという新たなターゲットに対してプロモーションができ、非常に効果的な施策となったと思っています。今後もこういった取り組みを継続できれば、と社内で話しています。

地域で、会社で話題の中心に。ブレイザーズの魅力。

ラジねえ。:南海電鉄さんから見て、堺ブレイザーズさんの魅力はどんなところにあると思いますか?

松本:私は今年からこの担当になったのでまだ日が浅いのですが、今回コラボデーに向けた選手の写真撮影に立ち会ったなかで、選手の皆さんがすごく前向きに取り組んでくださっていて、楽しい雰囲気で撮影が進んでいくのが印象的でした。
色紙にサインを書いていただくとか、他にもいろいろなことをお願いしたんですけど積極的に協力してくださって。その様子を見て、選手の方も社会や地域、スポーツのファンを盛り上げたい気持ちがあるように感じました。

実は社内にも昔から堺に住んでいて、ブレイザーズが好きという古いファンが結構いるんです。かくいう私も試合を観に行かせていただいてから、試合結果を毎週、部内のメンバーとチェックするようになって、週明けにはよく「勝ったな!」「あそこ惜しかったな!」みたいな話をするようになりました。コラボデー開催に合わせて、社内で観戦者の募集を行った時も、告知後すぐにたくさんの問い合わせメールが来ましたね。駅係員や車両整備担当の方からも連絡が来て、関心の高さを感じました。

ラジねえ。:堺ブレイザーズさんと今後一緒にやっていきたいことはありますか?

松本:弊社が情報発信する際に、メインのターゲットとなるのは、南海沿線である南大阪、和歌山に住んでいる方、あるいは電車ファンで、実際SNSのフォロワーもそういう方が多いです。一方でブレイザーズさんの試合には沿線外の、特に20~30代の女性も多くいらっしゃっています。普段弊社がアプローチできていない層の方とブレイザーズさんを通して接点を持てるので、ご一緒することでチームの魅力発信はもちろんのこと、弊社沿線の活性化に繋がる発信を行っていきたいと思います。新型コロナウイルス感染拡大が収まれば、選手の方と沿線の方が実際に交流する企画なども検討していきたいです。

ラジねえ。「南海コラボデー」へ。堺ブレイザーズ公式戦、初観戦!!

ラジねえ。:2月26日(土)南海コラボデー初日、やってきました。堺駅のホーム、南改札口、そして大浜体育館に行くまでの道中、鮮やかな黄色が飛び込んできて、ブレイザーズ一色です。

堺駅南改札口から歩いて約10分。大浜公園にある堺市立大浜体育館前には、南海電鉄の制帽を被ったブレイザーズの選手の“のぼり”がずらり。これはファンには、たまらないですね。この“のぼり”写真をSNSへ投稿することで、人気家電製品、南海電鉄グッズ、さらにはWチャンスで選手のサイン入り色紙などがあたるガラガラ抽選会ができるということで、抽選会場は大いに賑わっていましたよ。

私も、南海コラボデーの応援グッズを手に、めっちゃ応援モードです。

試合終了後、松本さんにお話を聞きました。
「抽選会に参加される方が少なかったらどうしようかと思ったんですけど、思った以上にたくさんの方に参加していただいたので、コラボデーの企画としてはうまくいったかなと。ファンの方が、のぼりと一緒に写真撮影する姿や、SNSで投稿しているのをみて、やってみてよかったな~と、思いました。今後もこういった楽しい企画を実施していきたいと思っています。」と、晴れやかな表情で語ってくれました。

肝心の試合は、フルセットの大接戦の末「3対2」で、見事ブレイザーズの勝利。試合終了後、松本さんはVOM(ブイリーグ・オブザ・マッチ)となった深津選手へのプレゼンターも務めていました。

堺ブレイザーズ 事業部シニアマネージャー 藤野翔太さんにもお話を伺いました。
「南海電鉄の社員の方にも多くに来ていただいていますし、興行としても席数制限が緩和されて昨年より会場が賑わっているのは嬉しいですね。毎年、南海コラボデーはやっていきたいです。先日パナソニック パンサーズさんは第2回京阪デーを開催すると発表していたので、うちも負けずにもう一回くらいやりたいです!

また、なんば駅や、堺駅などのターミナル駅や電車内にいろいろなものを掲出いただくことで露出が増え、目に止まる機会ができただけでも、クラブにとって成功と言えます。実際それを見たという声も多くいただいています。実は今回の広告を見て、企業の方からブレイザーズに広告についてお問い合わせいただくケースも出てきていて、地元の電鉄会社さんとコラボする影響力を感じています。コロナの状況次第ですが、例えば今後飲食関係の企業とタイアップして会場でのサンプリングなどできたら面白そうですね。」

堺という地域に根差している、南海電鉄と堺ブレイザーズ。今回のコラボデーの成功をうけ、地域活性化に向けた取り組みが加速する予感です。ちなみに、翌2月27日(日)も勝利したブレイザーズ、南海電鉄にとって最高のコラボデーとなりました。

それにしても、生で見るバレーの迫力、すごかったです。(笑)