特集2022.03.08

ライフセービング 宮田沙依さん “人を助けるスポーツ”世界大会も開催される競技スポーツでもあるライフセービング。 生涯スポーツとして、その魅力と続けていくための課題とは?

ライフセービングと聞いてどんなイメージを持っていますか?
海で起こる水難事故を未然に防ぎ、いざと言うときには人の命を助ける頼りになるマッチョな男たち?
実は世界大会開催されるハードな競技スポーツでもあります。
選手と仕事を両立する日本代表強化指定選手である女性ライフセーバー宮田沙依さんに話を聞きました。

宮田沙依さんのプロフィール

1991年3月5日生まれ
東京都中央区出身

3歳から始めた水泳では、全国大会出場を果たす。
日本体育大学入学と同時にライフセービング部に所属。ライフセーバーとして監視活動を中心に活動する傍ら、ライフセービング競技のトレーニングを重ね、日本代表強化指定選手に選出される。

2011年/2012年/2019年〜日本代表強化指定選手
ISRC2019日本代表
その他全日本優勝や入賞多数

オープンウォーター(マラソンスイミング)競技にも取り組んでいる。
2019年〜日本選手権出場
その他多数レースにて優勝、入賞経験有り

ライフセービングとの出会いと背景とは?

普段はどんな生活ですか?

基本的には朝トレーニングして、日中に仕事して、終わったらケアや補強をしている生活です。
休みの日は海でのトレーニングやジュニア指導、大会やレッスンガード、講習会などにも携わっています。

毎日続けないといけないスポーツなんですか?

感覚がなくなってしまう不安があるので、毎日なるべく続けています。
続けないといけないというより、生活の一部になっています。大きい、重いものを動かす、また自然環境下でパフォーマンスを出すという意味で感覚やスキルが大切なので、長く続けるって大切だなと思います。今年で14年目になります。

宮田さんがライフセービングと出会ったきっかけは?

小さい頃、海に行った時、ライフセーバーの人がいて声をかけてくれたんです。
そういう環境が身近だったというのと、大学入学時に部活があったのというのもありました。ずっと水泳をやっていて、水とか海が好きでそこから離れるのは考えられませんでした。水泳も高校3年まで15年間やっていました。ただ、行きたい大学は決まっている中で、水泳選手としての上を見た時に、別のことをやろうと思っていました。

ライフセービング部に入ったのはたまたま?

いや、実は大学に入る前からライフセービング部に入るのは決まっていました。(笑)
勧誘の時もライフセービングのパンフレットだけ持っていて。
水の中に慣れていたというのもありましたが、自分の経験を世の中に還元したい気持ちが高まっていて、この活動を極めることで人を救助できるんだという感覚があって、これかな、と感じていました。

競技としてのライフセービングとその魅力

ライフセービングってどんな競技なんですか?

ライフセービングって人命救助とかのイメージあるんですが、それって1割で、そんなケースが起きないようにするための活動が9割なんですよね。
その技術を高めるためにできたスポーツなんです。
<ライブセービングについて>
https://jla-lifesaving.or.jp/lifesavingsports/

競泳とライフセービングの共通点や相違点とは?

スポーツだと、いつ引退するんですか?って聞かれるますけど、ライフセービングは、パフォーマンスの限界はあるかもしれないけど、引退ってないと思うんです。他スポーツと違うところは、勝ち負けが最優先ではないので燃え尽きるとかやり切ったという感覚が少なくて、困っている人を助けたいという自分軸でない点で、限界や引退はないのかなって思います。

年齢も関係ないと思います。40~50代の方も当然いらっしゃるし、かっこいいですよね。

サーフスキー競技中の様子(宮田さん提供)

ライフセービングをずっと続けられる理由ってなんなんですか?

海も好きだけど、同じ環境で活動することがほぼないんです。
天気や海の環境などでも変わるからこそ面白いです。
そういう環境で最大のパフォーマンスを出すかを見極める楽しさもあります。

教育も行っていると聞きましたが、その対象は?

習い事の一つとして子供達にもそうですし、マリンスポーツを楽しんでいる人たちに向けてもやっています。海と関係している人は基本知って欲しいですね。でも、あくまで私たちは黒子でいたいと思います。

やめようと思ったことはないんですか?

基本的にスポーツが好きで、人のために!というのが強いのか、続けようと思っています。

大会で抱き合う様子(宮田さん提供)

宮田さんご自身の選手としての課題は?

過去には得意種目があったのですが、今のわたしは何かに特別長けている選手ではないので、得意種目を作って伸ばしていくことが課題かなと感じています。
ライフセービングという競技には海岸で行われるサーフ競技で12種目、プールで行われるプール競技11種目と多くの種目があり、選手もいろいろなタイプの人がいるのですが、安定して高いパフォーマンスを発揮できる選手になりたいなと思います。

今後の目標について教えていただけますか?

日本代表として世界大会に出場することです。
代表戦で貢献できなかった過去があるので、またチャンスを掴んで代表の総合順位を上げる存在になりたいです。若手も育ってきているので負けないように頑張りながら、全体的なレベルアップに繋がればと思っています。
ライフセーバーとしては、ライフセーバーがいる海って関東が中心なので、ライフセーバーを増やして行けたらと思うのと、習い事にライフセービングが入ってきて子供の教育の一つになったらいいなと思います。命に関わることだからこそ思いやりなどの部分も育まれるのではないかなと思います。子供達が誰かを助けている、泣いている子のそばにいるなど、それ自体もライフセービングだなと感じたりしているので大事な要素なのかなと思います。

講習の様子(宮田さん提供)

取材後記

こういうスポーツもあるんだな〜と感じたインタビューでした。子供達の倫理観を育んだり、自分軸ではなく、他人軸である点で制限がない、限界がないという話も印象的でした。世界大会に向けて頑張る宮田選手をこれからも楽しみにしていきたいと思います。