特集2022.11.10

順天堂大〝院卒〟プロアスリートが日本代表に!十種競技・田上駿

陸上物語26人目のゲストは、日本学生陸上競技個人選手権大会男子十種競技(2017年)で見事優勝、FISUワールドユニバーシティゲームズ日本代表選手への内定も決定した田上駿(たうえ・しゅん)選手です。一般社団法人陸上物語所属のプロ陸上選手としても活躍中の田上選手。十種競技への熱い想いや今後の抱負、陸上物語への所属を決めた経緯など、じっくりとお話をうかがいました。

日本陸上競技個人選手権、優勝!

――日本学生陸上競技個人選手権大会(男子十種競技)での優勝から、少し時間が経ちましたが、今の率直なお気持ちはいかがですか?

まずは、〝1番になれた〟ということが素直に嬉しいです。今回、十種競技の表彰式は行われなかったので、優勝したという実感はあまりないのですが…(笑)。でも、(最終種目である)1500m走を終えて、最終順位がパッと電光掲示板に出て、自分の名前が1番上にあるということは、嬉しかったですね。

大会を振り返って良かった点、改善点

――(大会を振り返って)良かった点、そして、まだまだ頑張らないといけないと自覚された伸びしろについてはいかがですか?

今回は、とにかく投擲種目でベストを出すことを目標にやっていたんですが、残念ながら果たすことができませんでした。そんな中でも、高い水準で砲丸投げ・円盤投げ・やり投げの3種目において、自己ベストに近い記録をまとめることができたことは、良かったかなと思います。伸びしろについては、3月初めの故障が尾を引いて、なかなか跳躍練習が十分にできていないまま、今回の試合に挑むことになってしまって…。僕は努力を重ねて本番に臨むタイプではあるのですが、〝(練習を)やらないとできない〟という部分を今後改善して、しっかりとポテンシャルを向上させていきたいなと思います。

――故障のこともあって満足に練習できなかったという一方で、練習さえできていればもっといけるんじゃないかというような、ポジティブな感覚はあったということですか?

はい!ある程度ポイントを押さえて競技をしているので、プラスアルファとして、もっと基礎練習を積んでいければ、もっといい記録に繋がっていくのかなと感じています。

今大会の7371点について(自己ベスト7764点)

――ご自身の自己ベストが7764点でありながら、今回は7371点での優勝。この数字については、いかがですか?

今回の目標として、7500点ぐらいが出れば嬉しいなという心づもりで挑んだのですが、当日は思ったより寒くて…。初日が雨で、12℃前後しかなかったので、他の選手とも「寒すぎて動かない!」という話をしながら、競技していました。その中でも、7300点後半をだせたことは、まずまずかなと感じています。(今回の試合に)点数をつけるなら、70点ぐらいかなと思います。

寒いコンディションでの競技について―その対策法は?

――この動画をご覧になっている皆さんの中には、陸上競技をされている方もたくさんいらっしゃると思います。寒い中で試合を行う上で、田上選手がおこなっている対策はありますか?

とにかく体を冷やさないことですね。フィールド種目とかだと、待ち時間が長かったりするので、厚手の服をしっかり着込んでいったり、汗や雨天による冷え対策として、しっかり体を拭けるタオルを多めに持って行くことなども、すごく大切だと思います。特に、雨天と分かっている試合だったら、自分が思っている以上に着替えとかを持って行くと、だいぶ心にも余裕ができるのかなと思います。

――今回の場合、田上選手はどれぐらいのタオルを持って行かれたんですか?

普段、雨が降ると分かっている場合、試合日数の倍の枚数を持って行くのですが、今回の場合は、バスタオルを2枚ほどプラスで持っていきました。

“笑顔”で十種競技!―世界大会でメダリストに

――そんな中、日本陸上競技個人選手権に優勝したことで掴んだ、FISUワールドユニバーシティゲームズ日本代表選手への内定!

大学1年生の時、アジアジュニアという大会で、アジア圏の日本代表には選ばれたことがあるんですが、世界規模での日本代表は今回が初めてでした。

――どんな思いですか?

この1年間の目標として、FISUワールドユニバーシティゲームズでメダルをとるというのが、1つの目標でした。なので、まずはそこへの参加権を得られたことに関して、とても感謝しています。

――FISUワールドユニバーシティゲームズは、田上選手にとってどんな大会にしたいですか?

とにかく、いつも通りですね。僕のスタンスは「十種競技を楽しむ」というスタイルなので。笑顔で十種目をやりきるということを大切にしたいです。また、世界大会規模の十種競技でメダル獲得というのが、今まで無かったことだと思うので…。まずは、僕がそういったフィールドでメダルを獲ることを、形にしていきたいなと思います。

――達成したら偉業になりますね!

そうですね(笑)。

母校・洛南高校からもお祝いのメッセージ

――田上選手は何を隠そう、洛南高校のOBということで…。そのあたりはいかがですか?

早速、日本代表選手に内定をいただいた後に、洛南高校の顧問である諏訪先生にも連絡させていただきました。おめでとうという言葉と、自分が納得するところまでコツコツとやり続けなさいというお言葉をいただいて…。おっしゃるとおり、どんな大会であれ、僕がやることは変わらないので、しっかり自分が納得いくところまでやっていきたいなと思っています。

陸上物語所属アスリートになった経緯

――田上選手は、洛南高校から順天堂大学、そして大学院へと進んで、今も陸上続けていらっしゃいますよね。こういった経歴を辿って、この度、陸上物語の所属アスリートとしても活躍されているわけですけれども、そういった形を選択した経緯をあらためて教えていただけますか?

今年の2月ぐらいまでは、ずっと所属先を探していたんですけど、コロナ禍ということもあって、どの企業さんもなかなか難しいということで、どうしようかといろんな方に相談していました。そんな時、陸上物語の辻理事長と少しお話させていただく機会があり、そこで「ちょっとしか応援できへんけど、頑張れよ!」とお声掛けいただいて…。そこから、陸上物語所属として、十種競技を続けていくということになったのが、最初のきっかけですね。

――陸上物語も莫大なマネタイズができている社団法人ではないので、大きなお金があって、それを田上選手を支援するということは難しくて…。一方で、どなたでも参加できる陸上部という形でやらせていただいているので、監督として濱矢さんが選手登録してくれたり、他にもマスターズに出たい選手が陸上部員という形で登録してくださっています。

そうですね。今後は、陸上物語さんを主軸にいろんな活動していきたいですし、僕自身としてもいろんな企業さんと関わらせていただいて、面白いものを提供していけたらいいなと思っています。

会場にアナウンスされる「陸上物語所属」のフレーズ

――田上選手の会場アナウンスとして「陸上物語所属」というのが毎回流れるわけですが、まわりの方たちからのリアクションはいかがでしたか?

まわりの選手とはSNSで繋がっているので、そんなに違和感を感じている様子はありませんでした。でも、やっぱり応援の方々は「え?何の会社!?」みたいな感じで、すごくザワザワしていたみたいで(笑)。家族が応援に来てくれていたのですが、家族から「まわりが凄くザワついていた」と聞きました(笑)。僕が還元できることは、陸上を思いきり楽しんでいる姿を見てもらうことと、支えていただいている企業様の名前をどんどん出していくことだと思っているので、自身の競技を通して、いろいろと還元していけたらと思っています。

今年の抱負と、いつも応援してくれる方へのメッセージ

――では最後に、今後の抱負といつも応援してくださっている皆さん、企業の皆さんへのメッセージをお願いします

いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。久しぶりに観客をいれての試合ができたことで、あらためて、生で応援してくださる方々の声援が自分の力になることを実感しました。今後とも頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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※この内容は、「一般社団法人陸上競技物語」の協力のもと、YouTubeで公開された動画を記事にしました。