特集2021.09.30
フィールドホッケーの 中村航司さん(27)『周りの助けがなかったら今の自分はない』 マイナースポーツの現役選手ゆえに導き出した答えが…オンラインサロンの開設 縁TRANCE (エントランス)で選手と支える企業をマッチングしたい!

オリンピックの正式競技としても採用されているフィールドホッケー。
国内ではマイナーと呼ばれるスポーツながら、目まぐるしい展開とスピード感で観客を魅了するエキサイティングな競技です。そのフィールドホッケーにおいて現役選手として日本でトップレベルの実力を持つ一方、オンラインサロンを運営する経営者としての一面も持つ。そんな2wayを実現させているのが、今回インタビューさせていただいた中村航司選手です。中村選手が2足のわらじを履きながらも追い求めるものとは何なのでしょうか。インタビューを通して紐解きました!
▼中村航司 Nakamura Koji プロフィール ▲
1993年11月7日生まれ 27歳
富山県出身 富山・石動高校~東京農業大学~表示灯フラーテルホッケーチーム
所属:メトロ東京ホッケー&アスリートクラブ(フリークス東京)
ホッケー歴17年 元U-18 日本代表
2010年 インターハイ優勝 2019年 日本リーグ(H2)優勝

中村航司選手(本人提供)
目次
アイスじゃなくて芝?フィールドホッケーってどんな競技?
フィールドホッケーとアイスホッケーとの違いはどんな点が挙げられますか?
まずは当たり前ですが、コートがフィールドか氷上かです。
もう1つ、大きな違いとしては人数ですね。アイスホッケーは各チーム6人で行うのですが、フィールドホッケーは11人です。球体の球を使うのもアイスホッケーとの違いです。
ただ、戦術の観点で見れば、サッカーに似ていると考えた方がいいのかもしれません。
フィールドホッケーはカレッジスポーツというイメージがありますが…
あながち間違っていないと思います。
フィールドホッケーはまだまだマイナースポーツですが、例えば僕の出身地である富山県などで局地的に盛り上がっていることが多いんです。この輪をひとつの突破口に日本中に広げていくことが出来ればと思っています。
中村さんから見たフィールドホッケーの魅力はズバリ何だと思いますか?
まずは何よりもスピード感ですね。試合展開がとにかく速いのでそこに注目して欲しいです。
球のスピードも速く、海外のトップ選手は時速200kmを出す選手もいるんですよ。あとはスティック捌き。色んな技術が詰まっていて、そこを見てみるのも面白いと思います。
ちなみに、この競技に向いている人というのはありますか?
基本的には身体能力や身長が高いなどの体格は関係ないと思います。フィールドホッケーはステックなどの道具を使う競技なので、技術や思考を練習を通して高めていくことと楽しむ感覚があればが誰にでも向いている競技です。

プレー中の中村選手 (出典:スポーツ指導超会議) https://hathm-study.jp/members/%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E8%88%AA%E5%8F%B8/
▼フィールドホッケー▲
サッカーと同じように両サイドにゴールを置き、得点を奪い合う競技。
先端の曲がったスティックと呼ばれる競技用の杖でPVCという素材のボールを操る。
アイスホッケーは各チーム6人だが、フィールドホッケーはサッカーと同じ11人。
イギリス発祥で、クリケットの選手がオフに始めたのが起源とされる。
1908年のロンドン五輪からオリンピックの正式競技になり歴史は古い。
世界的にホッケーといえばフィールドホッケーを指す。
ちなみに、サッカーは蹴球、バスケットルは籠球、ホッケーは杖球と呼ばれる。
人間性を育むスポーツ 雑な生活をしてるとプレーに表れる?
中村さんがフィールドホッケーを始めたきっかけについて教えてください
7歳上の兄がフィールドホッケーをしていたのと、仲の良い友達に誘われたことが競技に出会ったきっかけです。フィールドホッケー以外にもさまざまなスポーツをしていたのですが、最終的には楽しさ重視でフィールドホッケーに絞りました。家族がフィールドホッケーをしていたということもあり、小さい頃から身近な存在でしたね。競技を始めてかれこれ17年目になります。
家族や地元の影響が大きかった?
そうだと思います。
僕の地元には社会人チームがあって、しかも質の高い指導者が小・中・高にいたんです。
そういった環境の中で僕自身、競技を通して人間的にも成長することもできたと感じています。日頃から雑な性格だと、プレーも雑になると思いますし、逆に日頃から周りを見て生活できているとそれがプレーにも表れる。こういった経験から、スポーツは「人生の縮図」とも言えると思っています。僕にとってはそれがフィールドホッケーでした。
夢への助走!「 縁TRANCE (エントランス)」アスリートのためのオンラインサロン開設
現在、競技者と並行して「縁TRANCE」というオンラインサロンを運営されているそうですね。どんなことをされているのでしょうか?
マイナースポーツを通じてキャリアを形成していったり、続けていく中で、様々な他のマイナースポーツの選手とも競技の垣根を越えて交流させていただいています。
そういった交流の中で、選手たちが競技を高めていくためのコミュニティです。加入されている方には、日本代表や海外経験のある選手がいます。他にも選手をサポートするトレーナーや栄養士、あとはスポーツをビジネスにしていくためのマーケティングに精通している方もいます。それぞれお互い自分にないものを補って、最終的には選手としてのレベルアップや社会と関わることの出来るコミュニティを目指しています。広く言えば、夢を追いかけている人たちが羽ばたく入口としてのコミュニティにしたいと思っています。
アスリートと起業家の両立は簡単ではないと思うのですが、時間の使い方など、どういった意識で日々過ごしているのですか?
そうですね。本当に両立は大変です。
その中でも睡眠や食事にも気を使ってあげないといけません。ただ、全てのことを自分1人でやるのではなく各所とコミュニケーションを取って周りも頼りながら日々励んでいます。そのバランスが今の課題ですね。
現役選手としての中村さんは、起業を通じて、いまどんな考えに至りましたか?
僕自身、実は東京オリンピックを目指していたのですが、全然ダメダメな結果に終わってしまいました。それでもまだまだ諦めきれず、競技者としては日本代表になれるように価値を高めていきつつ、社会に対しても価値を見出す社会起業家アスリートという存在となりたいと考えています。
具体的には選手として世界最高峰のリーグである、ヨーロッパリーグに挑戦してみたいと思っていますし、起業家としてはこの人口が減っている社会の中でマイナースポーツを通して世界を巻き込んでいきたいと思っています。

写真:中村選手ご提供
経験で得た「 誰かのために」を実現したい! マイナースポーツの選手と企業をマッチングすること
そもそも中村さんがこのサロンを立ち上げたきっかけは何だったのでしょう?
実家が古本屋だったので、小さい頃からビジネス書を読むことが多く、起業したいという気持ちがもともと強かったんです。中でもスポーツに関わる仕事がしたいと考えました。
というのも、僕がしているようなマイナースポーツは、普及についてなど多様な悩みを抱える人が本当に沢山いるということを常に感じていたからです。
自分自身もスポーツに向き合う機会が沢山ある中で、お世話になった方々や社会に恩返しできるのでは?との思いで、開設したのが「縁TRANCE」です。
ビジネスに興味があったとのことですが、ビジネスよりも社会貢献に近い印象ですね。
やはり自分にもここに来るまで挫折が沢山あり、その度にサポートがありました。
例えば兄はどんな時も親身に相談・応援してくれました。沢山の人と現在も相互に助け合っていて、周りの助けがないと今の自分もなかったと思っています。
僕自身がこの経験をしているからこそ、できることがあるのではないかと思いました。
ただ、一方でこのサロンには、ビジネスという側面もしっかりあります。今のマイナースポーツは熱い想いのある方々によって支えられていますが、メジャースポーツと比べまだまだビジネスとしては難しく、選手のセカンドキャリアも確保されていません。なのでスポーツをしながらキャリアを形成できる環境が必要だと思っていますし、そのきっかけになればと思っています。
オンラインサロンを通した経営の展望を教えてください。
このオンラインサロンというコミュニティを通して個人や企業とアスリートのマッチングをし、アスリートのスポンサーや雇用の手助けになればという思いです。
縁TRANCE 公式サイト (https://entrancesalon.com/)
最後にこのGrowSをご覧になっている方へメッセージをお願いします。
今後マイナースポーツもそうでないメジャーなスポーツも色んな競技の方々が手を取って盛り上げていく必要があると思っています。
そして、それがそれぞれの競技のパフォーマンスが高まっていくことに繋がる。
オリンピックや世界大会など、ますますスポーツの力が求められる中でこのメディアを通して団結できることを願っています。
取材後記
今回、インタビューさせていただいた中で強く感じたのは、様々な領域を取り払ってスポーツに関わる全ての人にとってのより良い環境づくりを支えていることでした。
現役選手としての両立は想像以上に簡単なことではないと思います。しかし、だからこその説得力が宿っています。成長したい人たちがそれぞれに意識を高く持ち情報を共有することで無限のパワーを生み出します。
今後、フィールドホッケーを始めとした多くのマイナー競技にもスポットライトが当たり、新たな可能性へと広がっていくことを願っています。今回の記事で少しでも興味が沸きましたら、皆さんもぜひ中村選手が取り組む活動と競技を覗いてみてはいかがでしょうか

インタビュアーの内田ゆめ(左)と中村選手(右)
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