特集2021.11.12

新スポーツメディアGrowS発足!ライブ配信と人材採用、2人の専門家が語る次世代のファンづくりプロジェクトとは

この秋に始動した新しいWEBメディアGrowS(グロース)。
ライブ配信と人材採用。2人の専門家が出会ったことにより生まれたプロジェクトです。
既存のスポーツメディアとは何が違うのか?
共同発案者・運営責任者である株式会社rtvの須澤壮太と株式会社fanfareの横山幹が、GrowS誕生までの経緯、GrowSがイメージする理想のビジョンを対談で語ります。

左 須澤壮太(rtv代表取締役) 右 横山幹(fanphare代表取締役)



◆須澤壮太 Suzawa Sota プロフィール
1989年 長野県生まれ 立命館大学 卒業
卒業後は放送機器メーカーの営業、教育・経営コンサルティングのベンチャー企業を経て、 株式会社rtvを立ち上げる。スポーツ競技団体をはじめ、テレビ局やスポーツ用品メーカーと共に コストパフォーマンスを追求したライブ配信の企画、制作などをマルチに展開、「ファンづくり のプロデュース」をミッションにローカルスポーツ・地域文化の発展を支える事業をしている。

◆横山 幹 Yokoyama Kan プロフィール 
1988年 鹿児島県生まれ 防衛大学校 卒業
卒業後は、顧客管理システムや不動産の営業を経て、デジタルマーケティング会社の営業部長、新卒採用責任者、人事部長を経験。 その後、人材領域における新規事業の立ち上げを行ったのちに、2020年11月に株式会社 fanphareを設立。「Make fun life. 楽しみ楽しませる人をふやす」をミッションに有料職業紹介、中途や新卒採用のコンサルティングを主な業務としている。

二人の出会いから生まれたプロジェクト

須澤×横山→ライブ配信×人材採用

須澤:まずは我々が何をしているのかお話ししましょうか。
rtvの主な事業は、ライブ配信のプロデュース・技術提供、動画メディアの運営などです。配信をしたいけど資金がなく、何をどうすればいいかわからないという依頼に対して、人員を割かずにAIカメラで撮影する方法を提案したり、映像をコンテンツ化したりと、プロデュースの役割が大きいです。当然僕たちの強みはライブ配信ではあるんですけど、技術や動画メディアはあくまで手段・道具であって、目標は僕らも依頼主の方々もファンを作っていくこと。会社のミッションである「ファンづくりのプロデュース」ですね。だから、“中継しませんか?”と持ちかけるよりも、“映像やライブ配信、メディアを使ってファンづくりの取り組みを一緒にしませんか?”と、協業で進めることが結構多いです。
協業のきっかけとなったのが関西学生アメリカンフットボール連盟さん。近年はJFLのサッカーチームのF.C.大阪さん、関西学生サッカー連盟さんや日本ラクロス協会さんとも一緒に取り組んでいます。競技団体・協会が多いですが、実業団のチームのファンクラブ向けの配信の取り組みを一緒にさせてもらうことも最近では増えてきました。理想的な仕事となっていますね。

横山:fanphareの事業は、企業さまの新卒採用・中途採用など人事のお手伝いと、エージェントとして企業にマッチした人を紹介する有料職業紹介です。大手エージェントだと人数も企業数も膨大ですが、fanphareの場合はフロントで動いているのが主に2人なので、企業も厳選して、対する候補者を集めて紹介しています。今後僕たちは人事のスペシャリストを集めた集団になり、ちゃんと人と向き合ってやっていきたい。それを強みに企業と人材をマッチングさせることでfanphareのミッションである「Make fun life. 楽しみ楽しませる人をふやす」を実現していきます。

横山:須澤さんとの出会いは、求人情報サイトの「WANTEDLY」です。スポーツを軸に配信事業をされていて、単純に面白そうだなというのと今後伸びていくだろうなと思いこちらからメッセージを送らせてもらって、お会いさせていただきましたね。
働いている人や、今後作りたい世界観について話がしたいなと思って須澤さんにお会いしたんですが、最初に事業について説明を聞いたときは技術屋さんのにおいがして、僕が経験してきたことは違いすぎて大丈夫かなと不安に思いました(笑)。でも、須澤さんはほわっと、おおらかな優しい方でありながら、ファンづくりややってきた事業に関してブレがないなと思いました。それに、年齢も性別も関係なくフラットに考えていらっしゃって、すごく心地いいなと感じました。僕自身も高校までサッカーをしていてスポーツが好きだったので、共感することが多くありましたし、この人たちと一緒に仕事がしたいなという気持ちになりました。

須澤:実は…横山さんは僕たちが抱えている課題にドンピシャな人だったんですよ。
ちょっと話は長くなるんですけどぜひとも聞いて下さい(笑)。ずっとやりたいと思っていたことがあったんです。競技団体やスポーツチームと一緒にお仕事させてもらっている中で、次世代の担い手・人材が不足していることを目の当たりにしていたんですよね。運営するスタッフは最低限いるけど、プロモーションや配信事業、広報、マーケティング担当…そういう人が全然いなくてrtvに相談されることが多いんです。この先スポーツコンテンツは競技団体やチームが自分たちで発信していくのが主流になっていくのに、ローカルスポーツにはそもそも人がいないし、知識を持っている人がいない。当初は僕たちが外から協力させてもらえれば…というふうに思っていたんですけど、チームの中にも知見を持った人が必要だと気づきました。「誰かいないか?」、「インターンでもいいから来てほしい」と言われることがしばしば。rtvが「ファンづくりのプロデュース」をミッションにしている中で、ライブ配信だけではなく、人材の部分で貢献できないかと考えていました。
ライブ配信って、カメラもできて、ディレクターもできて、スイッチャーも技術系もできるというマルチな人材が必要なんですが、rtvではそういったノウハウを身に付けることができる。そんな人材がチームに所属して活躍してくれれば、スポーツ業界全体がよくなったりするのでは?と思い始めました。人を育てて輩出する、そうやって業界をよくしていくのもミッションとして必要だなとは思っていたんですけど、なんせ僕は人材(育成、採用)のノウハウを持っていない。

須澤:横山さんと出会ったときは社員4人と業務委託の方・インターンの学生しかおらず、本来のライブ配信の事業で手いっぱいだったんです。人材分野に長けている人に来てもらったらいいなあと、2年ぐらい温めていて…やるやると言いながら、2年も取りかからなかった。“やるやる詐欺”ですね(笑)。
横山さんは出会って最初に、学生や選手の選択肢を広げて可能性を見出したいとおっしゃった。これはもうドンピシャやなと思って、ぜひ!という流れになりました。でも、僕の中で全然かたちが決まっていなかったので、頭の中にあるコンセプトだけを伝えました。
横山:一番に「GrowS」という名前をバッと決めて、ロゴも決めましたね。やっていくしかないでしょ!みたいな。「GrowS」というキーワードが出てきたのは、なんででしたっけ?
須澤:成長して共感を持つことで人と人とがつながり、いろんなファンを増やしていくという概念。セカンドキャリア、再スタートなどもキーワードにあったので、大文字の「S」と「G」が「ゴール(goal)」と「次のスタート(start)」みたいな感じ?
横山:いや、成長「grow」の複数形ですね。
須澤:そうだった(笑)。
横山:自分自身だけではなくてみんなで成長していきましょう!みたいなメッセージです。チームでも企業でも、いろんな人にフォーカスすることで成長させていきたい。スタートからゴールというのは後付けで(笑)。

須澤:横山さんがかたちにしてくださったおかげで、僕がやるやる詐欺で追求されることはなさそうです(笑)。

GrowSとはどんなメディア?

キーワードはスポーツ×○○ そこから生まれるものは…

須澤:GrowSには3つの柱があります。
まず1つ目は、WEBメディア。インタビュー記事や、スポーツに関するいろんなコンテンツを配信していきます。
2つ目は、1つ目のコンテンツ配信に絡めて人材紹介の事業を展開する予定です。
3つ目は、試合や人物のドキュメンタリーなどを配信する、OTTサービス(動画配信サービス)と言われる、動画コンテンツを中心としたサービスを作っていこうと考えています。
選手や競技団体に限らないスポーツに関わるいろんな取り組みを多くの方に見てもらって共感してもらうことによって、「こうなりたい」とか「ああなったらいいね」とか、何かのきっかけにしてもらうことを目指しています。GrowSで見たチームに入りたいと思ってもらったり、選手の試合を見てファンになってもらったり、雇用を生み出したり…そういうきっかけを作ってもらえたらいいなと思っています。
横山:rtvの「ファンづくりのプロデュース」と、ファンファーレの「make fun life 楽しみ楽しませる人を増やす」というミッションは通じるものがありますよね。GrowSが僕たちのミッションを表現する場でありたいなと思います。スポーツを軸に、記事や動画を見た人の心が動いて、本気になるきっかけとなるメディアにしていきたいです。

須澤:スポーツのWEBメディアはこれまでにもありましたが、GrowSの特徴はスポーツを単体で取り上げるのではなくて、「スポーツ×〇〇」というように、何かをかけ合わせます。スポーツにはいろんな関わり方がありますよね。企業に所属する人もいれば、クラブチームで活動する人や学生もいる。ドクターやボランティアなど、スポーツを支える側の人もいる。競技をする当事者だけじゃなくて、「スポーツ×〇〇」の、「〇〇」が身近に感じてもらうことってあると思うんです。僕の場合は、「スポーツ×ライブ配信」という視点があります。
例えば、社会人のアスリートだと、企業に所属している立場上抱えている課題や共通の意識があるかもしれない。それをGrowSを通じて発信することによって、同じ意識を持つ人が課題解決の方法を探っていく。そんなきっかけを増やしたいです。
また、スポーツの当事者同士が共感して繋がっていけるようなメディアにしていきたいです。なぜ企業がチームにスポンサードしているのか、その思いを知ることで、よりスポーツに対する理解が深まると思うんですよね。企業への見方が変わることもある。一方的な情報発信だけではなく、そういう繋がりを作るメディアにすることで、多くの人のスポーツに対する熱量を高めていこうと思います。

横山:僕の立場だと、「スポーツ×キャリア」。特にスポーツ選手のセカンドキャリアについて考えています。選手として現役で活動するうちは競技に集中し、引退したあとに人生を考えればいい、という考え方は、僕は時代に合わないと思うんです。オリンピックで金メダルを獲った人にはテレビ出演の依頼が来るなど仕事に繋がっていく。でも、5位だった人はどうやって食べていく?それなりの年齢になって競技を終えた時、日雇いアルバイトの生活かもしれない。特にマイナースポーツの選手は、競技をしながらお金を稼ぐことを考えていかなければなりません。キャリアや人生に悩む選手がGrowSで他の選手の記事を読んで、さまざまな選択肢のきっかけ作りと、いろんな選手がお互いに刺激し合えるコンテンツを増やしていきたいですね。僕たちも取材を通して学びや気づきをたくさん与えてもらっています。

ホップ ステップ…GrowSがめざすものとは?

イメージは出会いに満ちたオープンな広場

須澤:まずGrowSがやるべき第1ステップは、すでに公開されていますが、アスリートなどスポーツに関わる当事者のストーリーや思いをインタビュー記事や動画で集めていくことです。そしてストーリーや思いが集まったら、次の事業を生み出します。「スポーツ×採用」、「スポーツ×セカンドキャリア」など枠組みを作って、同じ目標や課題を持った企業と協業でできる取り組みを考え実行する。それが第2ステップかな。

須澤:メディアって、実際あまりオープンじゃなくて、一方的に発信するイメージがありません?僕たちはオープンでありたいです。双方向ともちょっと違って、風通しがいいと言えばいいのか…目標・課題に対して僕たちと一緒に考えながらやっていきましょう、というスタイルです。GrowS=メディアではなくて、GrowSは協業のきっかけを見つける“取り組み”なんです。

横山:僕は、メディアはフックになるものだと思っています。GrowSもフックであって、ひとつのコミュニティとして繋がる場であればいい。いずれは大きくマネタイズしていければいいですが、現時点ではあんまり考えていないですね。
ただ公開されて間もないサービスにもかかわらず、コミュニティとしての新たなさ動きはあるんです。GrowSの取材を通じて、ラクロスの選手を紹介していただいたんです。その方は選手でありながら、ボランティアで大学のラクロス部にボールを提供するなどしていて、自分のスポンサー企業の採用や新卒採用をしている企業に、ラクロスを真剣にやっている学生を紹介するといったかたちで一緒にやりませんか?という話になっています。
GrowSの存在によって「スポーツ×キャリア」の動きがひとつ生まれました。そんなふうにいろんなものが生まれていけばいいなと思いますね。

須澤:GrowSはオープンな広場みたいなものですね。そこに選手やスポーツをサポートする人たちのブースが集まってくる。記事や配信というブースがあって、人材紹介というブースもあって、それ以外も増えてもいいと思うんです。食品とか、施設とか、いろんなジャンルのブースがあってもいいかもしれない。
とにかく、いろんな人の事情を公開して多くの人に知ってもらう場です。選手にも企業にもそれぞれ課題があるはずです。GrowSで共通の繋がりができたら、それをフォローしながら、課題を解決する。それがスポーツや地域、選手への恩返しになると思うんです。スポーツ市場をよくするための、日本のスポーツをよりよくするための課題解決の取り組みをプロデュースしていく場になったらいいですね。

横山:今はオンラインの場なんですけど、将来的にはリアルな場を作りたいと思っています。GrowSを知っている人だけが来られる場所。スポーツ選手って競技以外のコミュニティになかなか入る機会がありませんよね。いろんな企業の方と競技を本気でやっているアスリートを直接マッチングするなどすれば、そこから新たな取り組みが生まれるかもしれない。直接会って話をするからこそ分かることがあると思うので。

スポーツとスポンサーをつなぐ新しいかたち

経済的価値から社会的価値が求められる時代

横山:マイナースポーツの選手が1番に困っていることはスポンサーですよね。金銭的な支援、物質的な支援、いろいろありますが、キャリアの観点で言うと、働きながらスポーツを続けるには企業の理解が必要だと思うんです。 GrowSに企業と人材の情報が集まることによって、別の種目のアスリートが所属する組織や企業の情報を得られるのは、理想型だったりするんじゃないかな。

須澤:もっと理想的なのは、選手や競技団体と一緒に企業や自治体と継続可能な事業を作り出すことだと思います。アスリートを支援する事業や、企業の方に理解してもらいながらの就職支援など。スポーツと協業することによってメリットが出る企業さんと一緒に事業を作り、運用できるようにしていきたいです。

須澤:これまでスポーツのスポンサーのかたちは、企業名や商品名を露出するというのがメインでしたよね。テレビCM、新聞や雑誌の広告、会場の看板など。でも、最近はマイナースポーツやアマチュアスポーツで、スポーツに対するスポンサーの在り方が変わってきています。露出ではなく“取り組み”です。例えば、スポーツチームと一緒に地域に根ざした環境保全の事業をやるとか。企業だけだとやりにくいけど、地域に根ざしたチームと一緒にやることシリーズで、地域に対する貢献をアピールできますよね。名前の露出だけではなく、そういった協業での取り組みが最近多くなってきているんです。いわゆるCSR(企業の社会的責任)としての取り組みですよね。企業側のメリットになる。
僕たちがGrowSでやろうとしていることは、社会的な価値と経済的な価値の両立です。これをなんて言いましたっけ?
そう、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)だ。
GrowSを通じてスポーツ界隈の課題を共有し協業することによって、社会的な価値と経済的な価値が繋がっていくと思うんですよね。いろんな共通価値をつくる。スポーツを価値として認めてもらえる企業とつなげていけたらいいんじゃないか。経済的な価値として認めてもらえるようにプロデュースして世に出していく。これがGrowSの最終的なかたちですね。

横山:最後に須澤さん、対談記事を読んでくださっている皆さんにGrowSのPRをお願いします。
須澤:協業のきっかけを見つけるために、GrowSをうまく使ってください。
このプラットフォームを使って、ファンを増やすことが出来たら最高です!