特集2021.08.17

退路を断ち、パデル普及に人生を捧げる。“LOVEパデル男”玉井勝善さんが見据える展望

みなさんは「パデル」というスポーツをご存知でしょうか?パデルは見た目にはテニスによく似た競技ですが、テニスと比べルールも簡単で、誰でも気軽に楽しむことができるスポーツです。初心者にも親しみやすく、極めたい人はどこまでも極めることができる。そんな競技であることから、昨今、世界各国で人気となっています。今回は、そんなパデルをこよなく愛し、国内でも広めようと尽力する株式会社Padel Asia代表取締役で日本パデル協会副会長の玉井勝善さんにインタビューしました。

玉井さんは、もともとIT事業の会社を経営されていましたが、思い立って「Padel Asia」を設立。全国各地にパデルコートを設置するなど普及に努めています。“LOVEパデル男”と呼ばれる玉井さんに、パデルとの出会いからこれまでの活動について伺いました!

会社を辞めてパデルにぞっこん!“LOVEパデル男”が語る競技の魅力

まずは、玉井さんがパデルに出会ったお話と現在の活動について教えてください。

テニスをやっていたので、ずっとテニスに関わる仕事がしたいと思っていました。当時、私はITのシステム開発やウェブ制作などを手がける会社の経営者で、その会社でもテニスメディアの運営支援などをしていたのですが、テニスに100%踏み出せないもどかしさを感じていたんです。そんなとき、40歳で出会ったのがパデルでした。初めてプレーしてから4か月後には会社を辞め、それから6年間、パデルの普及活動をし続けています。

普及というと、具体的にどんな活動ですか?

今は「Padel Asia」という会社を設立し、主にパデルの施設を展開し運営したり、パデル事業に参入したいという方のサポートを行いながら全国にパデル施設を増やしていく活動に取り組んでいます。

玉井さんから見たパデルの魅力はどこにあると思いますか?

パデルは誰でもできるのが最大の魅力です。年齢によるレベルの差が出づらく、極端に言えば、20代と80代のプレイヤーが対等に戦うこともできます。当然、動きもそこまで激しくありません。私は最初、「こんな球技があるのか!」と衝撃を受けました。

 

もうひとつ魅力を挙げるとすれば、スポーツでありながらユルい部分があること。テニスのように服装や規定などが厳格ではありませんし、コートが四方ガラスやネットで覆われているので、それを囲んでプレーしていない人たちが食事やバーベキューをしながら一緒にわいわいできる。それぞれの関わり方で競技に参加できて楽しいですよ

人気沸騰のパデル。2030年までに100万人の競技人口に

パデルは世界的に見ても人気急上昇中のスポーツだと聞きました。玉井さんから見て、実際にいかがですか?

パデルは海外では非常に人気のある競技だと思います。事実、先日2023年に開催される「THE EUROPEAN GAMES(ヨーロッパ大陸のオリンピック)」でも採用される予定です。また、SNSでも元イングランドのサッカー選手であるベッカム氏が「love padel」と発信しています。それほど魅力が十分ある競技だと認識しているので、あとはこれからより多くの人に知ってもらうことが重要であると考えています。

競技の認知度を上げるための構想など、どのようにお考えでしょう?

今、我々と一緒にパデルをやっている仲間はパデル愛が非常に強いので、その人たちを中心にパデルの輪を広げている段階です。その輪をどんどん広げていくことで、パデルが広がっていけばと思います。

パデルが人気競技になるために次のステップとして必要になってくるのは、テニスの大坂なおみ選手のような日本人の世界ナンバーワン選手が現れること。そして、その競技を通したビジネスが成立することと多くの人にパデルを普及すること。この3つの要素が必要であると考えています。

そのビジョンを実行に移していることはありますか?

我々は「コバンザメ商法」と言っているのですが、漫画の『キャプテン翼』と名古屋のアイドルとコラボしています。

認知度の高いものに張り付くという戦略なんですね!こうしたステップを経て、近い将来に玉井さんが見据えるゴールにはどんな希望があるのでしょうか?

2030年までに100万人の競技人口までもっていきます。そして、アジアの中でプロリーグを設立することで、パデルで十分な生計を立てられるような競技にしていきたいです。

玉井さんは東京都内にもパデルができる施設『パデル東京』を設立されていますが、この施設ではどのようなことができるのでしょうか?

主にパデルのレッスンや大会、イベントを行なっています。イベントでは体験会や、バーベキューをしながらパデルができる人気の「肉パデ」も開催しています。最近はコロナの影響でできていませんが。

 

写真ⅰ:パデル東京設立に際し、協力者の名前が刻まれたコート

パデルが本当に好き。逃げ道を絶たないと本気になれない

ここまで玉井さんとパデルに関して明るい話が多かった印象なのですが、冒頭に伺った中で、思い切った決断もありました。逆に苦労されたことなどあればお聞かせください。

『株式会社Padel Asia』を立ち上げたときは、とにかく聞いたこともないパデルというスポーツに対して懐疑的な意見が多く、施設がつくれる場所が見つからず苦労しました。それでも、前職のIT時代に真面目に仕事に取り組んでいたことで多くの人々の信頼を得ていたので、その人脈がさまざまな場面で活きました。そのような人々に出資していただいてここまでやることができています。

経営していた会社をお辞めになって、このパデル事業に進む決断の際に不安やリスクを考えることはなかったのですか?

もちろん不安はありましたがワクワク感の方が勝ってましたね。コロナの影響もあり、強制的に社会の仕組みが変わり、副業やリモートワークと働き方が変わっているので、同じ会社でずっと同じような仕事をするという働き方にもリスクはあると思います。

私がパデルの事業を始めるときにあえて会社の代表を辞任した理由は、逃げ道を絶たないと本気になれないと思ったからです。ここまで本気になれたから、多くの応援してくださる方々を集められたと思っています。そういう意味では、リスクを取らないことが一番のリスクとも言えると思います。

最後にこのGrowSをご覧いただいている方へメッセージをお願いします。

自分が楽しいと思えること、自分はこれだけは負けないというものを持っておくことが非常に重要だと思います。自分はパデルが本当に好きでここまで来たわけですけど、こんな“変態“が世の中を作っていく世界は本当におもしろいと思うんです。私は『マツコの知らない世界』という番組が大好きなのですが、あの“変態“のような個性を皆さんにも出してほしいですね。

人生初のパデルに挑戦!感想を聞いてみた!

インターン生の内田ゆめさんと横山令さんがパデルを初めて体験。パデル完全初心者の2人のリアクションは?

写真ⅱ:パデルを体験する内田ゆめさん(左)と横山令さん(右)

お疲れ様でした。パデルをやってみて、まずは技術的な点については率直にどうでしたか?

横山:僕はとても運動神経が悪く、パデルに似たスポーツであるテニスすら未経験だったので、とても不安でした。でも、玉井さんが丁寧に基本動作から教えてくださったこともあり、最低限試合になるレベルまでわずか30分程度でできるようになりました。パデルの規定にはダブルスしかないので、そこまで新たに覚える動きは少なく、初心者で運動神経が悪い僕でも楽しくプレーすることができました。

内田:年代幅広く誰でも楽しくできる競技だと感じました。ルールが簡単だからすぐにできるようになるというのもあります。

プレーしてみて難しいと感じたのはどの辺ですか?

横山:自分はバドミントンを高校でやっていたので、打つときに手首を返す癖があります。パデルでは手首を返さずに打たなければいけないので、そこは苦労しました。

内田:私はテニス経験があったので、最初は簡単かなって思ったんですが、「レボテ」という特有のルールがあって、サイドや奥のガラスに跳ね返った球を相手コートに打ち返すプレーなのですが、これはテニスを経験していたからこそ苦労しました。

その点はプレーをしていくうちに改善されましたか?

横山:はい!パデルはコートが狭く、手首を返すほど強く打つと後ろのガラスに当たりアウトになってしまいます。ラケットに軽く当てるだけでちょうど良いところに飛ぶことがわかってからは、すぐにできるようになりました。

内田:私もレボテがやればやるほど上手くなっていくのがわかったので、ハマってしまいました。

他にパデルを体験してみて得た気づきはありますか?

横山:パデル特有のレボテが、やはり初心者目線では難しそうに感じました。ただ、簡単なレボテだと数回練習すると対応できるようになります。このレボテは簡単な球からとても難しい球まであるため、いかに難しいレボテを相手コートに仕掛けることができるかが得点の鍵なのではないかと感じました。

内田:やっぱりレボテが難しすぎる!

この1日で、パデルに対する愛着は芽生えましたか?競技に対しての感想を教えてください。

横山:まずプレーしてみて最高でした。プライベートでまたプレーしてみたいと強く感じました。自宅から近いところにパデルコートがあれば、必ず通うと思います。そのような方がきっと自分以外にもいると思うので、今後は日本全国の人々が通いやすい場にパデルコートができてほしいですね。初心者でもここまで楽しむことが出来るということを多くの人に感じてほしいです。

内田:今後パデルをもっと若い世代に知ってもらいたいですね。そして、野球のように小さい頃からパデルという競技をやって、オリンピックなどに正式に出てもらいたいです!

玉井さんからお話を伺って印象に残っていることは何ですか?

横山:パデルは庶民的なスポーツであるということです。パデルの規定ではサーブは下から打たなくてはいけません。これはテニスのように上から打つと相手が打ち返せないとのことでした。先程の話にも出てきた「レボテ」も難しいルールに思えましたが、実はラリーが続くからそのルールを適用した、とのことでした。これらの初心者に寄り添った規定が、初めての体験でも馴染みやすい理由なのだと思いました!

内田:人生何が起こるかわからない!まずは踏み出してみること!私も勇気を振り絞って踏み出してみようと思います。

取材後記

写真ⅲ:玉井勝善さん(左)と内田ゆめさん(右)

“LOVEパデル男”こと玉井勝善さんのインタビューとインターン生のパデル体験を通して、これらのことが伝わってきました。

「ヨーロッパのオリンピックの競技にも採用されるほど今熱いスポーツで、さまざまなコラボを通してパデルの輪を広げていっていること」「“LOVEパデル男”はリスクを顧みることなく、むしろそれを楽しみながらパデルの普及に努めていること」「初心者でも馴染みやすく、プレーしても十分魅力を感じることのできる最高のスポーツであること」

初心者もプレーしやすいこの魅力たっぷりのパデル、皆さんも一度試してみてはいかがでしょう。

玉井勝善さんの情報はこちら!

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