特集2022.03.22

壁を活かして突破しろ!ジョーキーボールにハマった元サッカーガチ勢。

今回はジョーキーボール選手の松澤さんにお話をお伺いしました。
選手として世界大会にも出場する一方で、大学職員としても働いている松澤さん。
競技の面白さと、普及活動に力を入れたいと考えるその思いをお話ししてくださいました。

※ジョーキーボールとは
四方を壁で囲まれた室内コートで行う、サッカーに近い競技。フットサルよりもさらにコートが狭く、壁の跳ね返りを生かしたプレーが可能といった特徴がある。
人数は2対2で交代は2名まで。ピッチ上の選手はオフェンスとディフェンスに分けられ、後者には行動エリアに制限がある。1セット7点で、先に2セット先取したチームの勝利。
その他大声や接触プレー等の禁止事項がある。

サッカーで挫折した男がいきなり日本代表に

松澤さんがジョーキーボールを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?

元々僕は大学を卒業して、スペインとオーストリアに、サッカーのプレーヤーとして行っていました。でもやはり最後は日本でプロとしてやりたかったんですけど、結局いいチームと契約することができなくて。
年齢も26歳だったんで、ある程度やり切った感がありました。今思えばもうちょっとやってもよかったかなと思うこともありますがその時はすぱっとやめました。

サッカーをやっていた頃の松澤さん(本人提供)

その後は選手のマネジメントをサポートするような会社で働いて。そこで今コンビを組んでいるパートナーに出会いました。
その人とは別部署だったのですが、たまたまその頃に福岡にジョーキーボールの施設ができるので、よかったら2人でやらないですか?と主催側の人に声をかけられたんです。
それでやってみたら面白くて、大会にも出てみたら、なんと優勝してしまいました。しかも数か月後には世界大会に向けて日本代表を決定するということを聞きました。

本当に急に日本代表になれるチャンスが巡ってきたんですね。

もし勝ったら日本代表としてローマで開かれる大会に行けることになっていました。そうしたら本当に優勝してしまって。

そして今は大学の職員をしながら選手の傍ら、普及活動を行っていると。

はい、大阪体育大学のスポーツ局の職員をしています。スカウトとしていろいろやらせてもらっていて、全国各地を飛び回っています。それと並行しながら、東京でジョーキーボールに関わることやサッカーの関係者に会っています。

ジョーキーボールには特有の難しさがある

ジョーキーボールをプレーする上でサッカーの経験は役立っていますか?

サッカーに必要な駆け引きとかはジョーキーボールにもかなり備わっています。そこから自分でプレーイメージを描くような力は役立っていると思っています。
でもサッカーをやっていればジョーキーボールがうまくなるわけでもなくて、やはり専門の練習が必要です。ボールを壁に当てると跳ね返るスピードが速いので、動体視力を鍛える必要があります。
数ヶ月もやってないと全然目がついていかなくなります。体さえ動けばできるというわけじゃないということです。
あとはジョーキーボールは激しい接触が禁止なのですが、それでも体は大きい方が有利だなとは思っています。というのもヨーロッパの選手とかは足のリーチが長いんですよ。だけどそれを言い訳にせず、なんとか僕らも世界大会で結果を出したいですね。

(本人提供)

普及促進と選手としての結果の両立の間で

ジョーキーボールの課題を教えてください。どうしたらジョーキーボールが広がると思いますか?

いまは、練習ができるコートを求めて福岡まで行かなければいけないということです。やコートが全国各地に増えればいろいろなところでできるし、定期的に他のチームと集まってプレーできればいいですけど、なかなか今やれる場所が少ないので、そこがネックですかね。

そのためにもまず知ってもらわないと普及できないじゃないですか。知ってもらって実際体感してもらって競技の楽しさを知ってもらう。
見るのとやるのでは全然違います。今なんらかの方法でやる機会を増やす方法を探っています。スポーツ施設においたり、フットサル場に併設できないかとかいろいろ考えているんです。
僕たちがいろいろなところで活動してイベントするだけでも知名度は広がって、興味を持ってくれる人が増えると思っています。あとは僕らが結果を出すということですかね。
結果を出したら選手としては引退をして、普及に回れたらと考えています。ただ世界大会に過去3回出て、いずれも予選敗退なので、このままでは終われないなと思ってずるずるきています(笑)
とはいえこの競技の第一人者だったし、おもしろいと思っているので、広めたい気持ちの方が強いですね。

実は東京でも一度仮設のコートを作ってイベント的にしたことがあるんです。ジョーキーボールのコートはどこでも作れちゃうのでそれが強みだとも思っています。そのイベントの時は通りがかりの人が結構立ち止まって見ていました。そういうスポーツイベントができればと思っています。

仮設のコートでプレイする様子(本人提供)

最後に普及する上でどういう魅力を伝えていきたいですか。

幅広く、子どもから大人まで楽しんでほしいし、女性もサッカーが未経験だと難しいけど、フットサルなら最近やっている人も多いじゃないですか。だったらきっとジョーキーボールも楽しめるでしょうし、より気軽にできると思います。別名フィットネスサッカーと呼ばれているくらいですからね。その機会を増やすためにも僕らが結果を出しつつ、普及に力を入れていきます。