特集2022.02.22

「現役アイドル 永遠の30歳! 彩羽真矢で〜す! 」 元タカラジェンヌの殻を破ったYouTuberでタレントの彩羽真矢さん。 R−1に挑戦!自称“オタク”が自己表現で知ったファンとのダイレクトな絆。

彩羽真矢(あやはね・まや)プロフィール
1984年 栃木県出身 
身長170cm。元宝塚歌劇団宙組の男役。
「現役アイドル 永遠の30歳」をキャッチフレーズに、関西を中心にタレントやYouTuberとして活動する。

彩羽さんってどんな人か? まずはこちらのコラボ動画をご覧ください!
YouTube ラジねえ。チャンネル
「タレント彩羽真矢さん(元宝塚歌劇団)とラジオ体操!?をやってみた〜宝塚劇場前〜」

(彩羽真矢さんのYouTubeチャンネル【彩羽真矢YouTube「Chami チャンネル」】でも公開されています。)

難関 宝塚音楽学校へに合格! 10年分の技術を2年で習得した?

彩羽: 元宝塚男役 現役アイドル 永遠の30歳!彩羽真矢で〜す!

ラジねえ。: はははは(笑)。すばらしい。彩羽さんのこれまでの経歴をお伺いしてよろしいですか?

彩羽: 2008年まで宝塚歌劇団の宙組で男役をやっていました。
退団した当初は芸能活動をするつもりが全然なくて、イベントコンパニオンのアルバイトなどをしていました。でも、ひょんなことで芸能界に入ることになって…いつの間にかこうなりました(笑)。
関西でタレントになったんですけど、最初はお金が全然なくて。レギュラー番組もないし、大衆演劇などいろんなことをして貧乏時代を過ごしていました。YouTubeに動画を投稿したことをきっかけに、いろいろお仕事が決まったりとか、ファンの人もできたりとか、アイドルデビューもすることになったりとか、いろいろ幅が広がって、今はリポーターやアイドル活動をしたりして、YouTubeで食いつないでいるという感じです。

ラジねえ。:幼いときから芸能界を目指していたんですか?

彩羽: そうなんです。小さいときから、将来自分がテレビの中に入りたいと思っていて、注目されることをやりたかったんです。
中学校で演劇部に入ったタイミングでミュージカルを知って、その頃にたまたま宝塚歌劇を見て、目指すようになりました。
実は、宝塚ファンのお母さんがいる後輩に、「宝塚って何もしなくても入れるらしいですよ先輩!」と言われて、「え、じゃあ入る入るー!」と、軽い気持ちで志しました(笑)。でも、調べてみたらめっちゃくちゃいろんなことをしなきゃ入れないことが分かって。

ラジねえ。:そうですよねー!

彩羽: でも、年齢さえクリアしていれば誰でも受験資格があるということを知ったので、やってみようかなと。高校1年のときは不合格で、翌年に合格しました。

ラジねえ。:ちなみに合格の可能性ってどれくらいだったんですか?

彩羽: 私のときは倍率20倍ぐらいだったと思います。多いときには40倍近くの倍率になる年もあるそうです。

ラジねえ。:すごい倍率ですね!どんな試験があるんですか?

彩羽: 今は1次試験でまず面接らしいですが、私たちの時代はバレエも歌も面接も1次試験からありました。なので、それに向けて基礎のレッスンをするんです。歌は、課題曲の歌唱のほかに、8小節の楽譜を渡されて初見で歌わなきゃいけないという試験。バレエはその場で振り付けされたことを覚えて披露する。そして質疑応答の面接です。
2次試験、3次試験に進むと、創作ダンスとか、リズムテストとか…体のバランスを見るために何分間かずっと立って静止をして、「横を向いてください」とか「前を向いてください」と指示されてめちゃくちゃ見られる時間がありました。あとは健康診断もあって、技術も健康も含めて全部クリアしないと宝塚には入れない。

ラジねえ。:厳しいですね…。

彩羽: 厳しい世界ですが、何より合格することが1番大変ですね。

宝塚歌劇団を退団した当時の彩羽真矢さん(本人提供)

ラジねえ。:合格してからの生活はどうでした?

彩羽: もともと私は娘役に憧れていたんです。初めて宝塚を見たとき、娘役さんの華やかなドレス姿や高い声で歌うところ、可愛く踊るところがすごく可憐だなと思っていました。でも、自分は身長が高いので、男役をやるべきだと分かっていて…最初のころは葛藤がありました。

でも、合格するのが本当に大変だったんですよ。2年間地獄みたいに頑張ったんです。他の人が3歳とか5歳とかから宝塚のために歌や踊りのレッスンをやってきた中で、私は始めたのが中学3年から。2年の間にみんながやってきた10数年分を全部やってやろうと思って、24時間体制で取り組みました。
朝5時に起きて自主練をして、学校に行ってもずっと宝塚のことしか考えていなくて、授業が終わったらダッシュでレッスンに行く。そんな毎日を2年間積み重ねました。それだけ頑張って宝塚に入ったのに、嫌いになって辞めたくないし、男役に対して文句も言いたくなかった。だから、ひと言でもセリフをもらってから辞めようと決めたんです。
5年目に、本当にひと言だけセリフをもらって、宝塚大劇場と東京劇場で2ヶ月半その役ができたので、そのタイミングで退団しました。
今となれば本当に男役をしていてよかったです。男役の動きなんて他のところで教えてもらえないじゃないですか。身につくことがたくさんありました。

ラジねえ。:とても貴重な時間を過ごされたんですね。

元タカラヅカの殻を破る! “やりたいことを好きなだけやる自分”になる

ラジねえ。:退団してから今YouTubeなどで活躍されていますが、そこにいたるまでの経緯を教えてもらっていいですか?

彩羽: もともと私、オタクで…。
宝塚にいるときからアニソンが好きで聴いていて、ゲームもたくさんしていたんですけど、当時は“オタク”という文化が受け入れられない時代だったんですよね。まだAKB48がテレビに出る前の時期から、宝塚の休演日に東京の秋葉原にあるAKB劇場に行っていました。
その頃「ニコニコ動画」にハマっていて、当時はガラケーで決定ボタンを連打しないと動画を見ることができない仕様で、“手回し再生(手回しラジオのようにクリックし続ける様子から呼ばれた)”で腱鞘炎になりそうになるくらいずっとニコニコ動画を見ていたんです。
私が大好きな「アイドルマスター(アイドル育成ゲーム)」の踊りを手回し再生で見て覚えて、自分も“踊ってみた”動画を投稿してみたいと思ったんですけど、元宝塚だし…。「元宝塚だからちゃんとしなさい」、「元宝塚なのに」。そういうことばっかり言われてきたから、やっちゃいけないんだとずっと我慢していたんです。

彩羽: 結婚もして、30歳を目前にしたとき、「あれ、私の人生って本当にこれでよかったのかな?」と悩みました。宝塚を退団して何でもできるようになると思ったのに、結局“元宝塚”というイメージで自分を勝手にがんじがらめにして。芸能界では全然仕事がないし、やりたいこともやっちゃいけない。もっとはじけたいのにはじけられない自分に対して、違うなと感じました。だから、もう全部捨てて、やりたいことを好きなだけやってやろうと思って、離婚したんです。

ラジねえ。:離婚まで?!すごい決断ですね。

彩羽: 相手の人はすごくいい人だったし理解もしてくれていたけど、申し訳ないと思いながらも自分の夢を突き進む決断をしました。
そしてまず挑戦したのが、R-1グランプリなんですけど(笑)。

ラジねえ。:ええ!

彩羽: きっかけは、お笑いコンビの笑い飯さんのラジオをアシスタントでご一緒させてもらったときに、毎週芸人さんがゲストで来るコーナーがあったんです。若手からベテランまでいろんな芸人さんが、自分を切り売ってというか、身を削って人を笑わせる姿を見て、私が本当に保守的で馬鹿だったなと思ったんですよ。やりたいことをやっているつもりで実は全然やっていなかったし、できてないことを周りのせいにしていたし、自分が動かなきゃだめだったなーと。それで、いっぺん芸人さんの気持ちを理解しようと思って、R-1グランプリで宝塚をネタにしたら、うっかり3回戦まで行っちゃいました。

ラジねえ。:すごすぎる。

彩羽: 3回戦まで行ったことでちょっと自信がついて。ただ、私は芸人じゃないからネタを作っても出すところがなくて。そのときに事務所の人に「YouTubeやったらいいじゃないですか」と提案されました。今までニコニコ動画とかで覚えた“踊ってみた”とかもあるし、「やっちゃえやっちゃえー!」と、30歳になる5日前くらいに一気に動画を公開しました。

ラジねえ。:新しい彩羽真矢さんのデビューですね。

彩羽: それらの動画がめっちゃバズったんです。
YouTubeの「急上昇動画」に載って、Yahoo!検索ランキングにも載って…3日間でいろんなメディアで800万回くらい再生されたらしいです。急に注目されて「うおぉー!」となりました。

ラジねえ。:動画は一気に何本もアップしたんですか?

彩羽:  はい。自分の記念に残しておこうと思っただけで何も考えていなかったので。せっかく宝塚メイクをしてやるネタだったら、宝塚メイクができるまでを全部撮って載せてもおもしろそうとか、ネタ動画を撮ったあとに、せっかくだから私がずっとやりたかった“踊ってみた”動画を、練習もせずにいきなり撮影して、7本ぐらい一気に公開しました。

ラジねえ。:撮影と編集はご自身でされているんですか?

彩羽: 今はそうですね。当時は編集の仕方わからないから撮ってもらったものをそのまま公開していました。録画ボタン押してもらって、停止ボタンを押してもらって、出す!(笑)。

彩羽真矢さんが運営するYouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/c/mayaayahane
※2022年2月1日時点の情報です

ラジねえ。:今テレビ出演やアイドル活動などいろんなことをされている中で、彩羽さんが一番楽しいと思う瞬間はどんなときですか?

彩羽: ファンの人と直接つながっている時間が1番楽しいです。生放送でもイベントでもライブでも、自分を応援してくれている存在がいるんだとはっきりわかるとき。私、もともと性格なのか、自己評価がめちゃくちゃ低いんですよ。ちょっと注目されていない気がするとか、自分がどう思われているんだろうとか、空気読めているかなとか、なんか自分が言ったことがウケていなかもとか、そういうのを考えてへこむし、自分の代わりはいくらでもいるんじゃないかと思っちゃうんです。そのときに「そんなことないですよ」とか、「頑張って!いつも応援してます」とか言ってもらうときが1番嬉しいです。
      
私も芸人さんみたいに自分を切り売りしたいと思っているので、結構ハードな過去の話とかをYouTubeでよくするんです。友達同士だと重いし暗くなってしまうようなことをYouTubeで話すと、「勇気もらえました」と言ってもらえたり、「本当は明日死のうと思っていたけど、たまたま彩羽さんのYouTubeを見て生きようと思ったんです」と手紙をもらったりとか。そういうことがあると私のほうが元気をもらえるんですよね。

ラジねえ。:私も彩羽さんに会うとエネルギーをもらっています。そのエネルギーはいったいどこから来ているんですか?

彩羽: いやいや、私本当にめちゃくちゃネガティブなんですよ。すぐに自分の評価を下げるし。だから周りの皆さんにそう言われるのが不思議です。
でも、エネルギーをもらえると言ってもらいたいから、頑張れていて…皆さんのおかげでどんどん自分に自信がついてきたのかもしれないです。


ラジねえ。:私もラジオ体操で皆さんにエネルギーを与えられるようになりたいなという気持ちがあります。今日は彩羽さんと一緒にラジオ体操をさせてもらって、すごく楽しかったです!

彩羽: 私もおもしろかったです。
そういえば宝塚歌劇団のとき、かなりの人がウォーミングアップでラジオ体操をしていました。

ラジねえ。:へぇー!!!嬉しい!

彩羽: 朝起きて体を起こすため、舞台の前に体を動かすため。ただストレッチや体操をするよりも、ラジオ体操だと全身をしっかりと大きく動かせるじゃないですか。そのことを思い出して、私もパワーがみなぎりました。
ラジオ体操をするのは宝塚だけじゃないと思いますよ。舞台に立つ人や声を出す人、歌を歌う人などもラジオ体操をすると体があったまるし、ウォーミングアップになると思います。

ラジねえ。: おっしゃる通りで、約3分で全身の骨と筋肉を動かすことができるとっても効率のいい体操なので、取り入れていただいてとても嬉しいです。

苦手だった手料理でお肌も体も元気に 彩羽真矢の健康法

ラジねえ。:健康や美容の面で彩羽さんが意識されていることはありますか?

彩羽: コロナがきっかけで、ここ2年ぐらいの間に料理をするようになったんです。それまでは料理も洗い物も嫌すぎて、外食しかしてこなかったし、私は料理を一生しないんだと思って台所は段ボール置き場にしていました。(笑)
自粛生活でみんなおうちでごはんを食べるから、私もみんなと一緒にごはんを食べたら楽しいかなと思って、毎日YouTubeで生放送をしながら料理を作って食べるというのを始めました。そうするうちに、肌がとにかく荒れなくなったんですよ。めちゃくちゃ元気になって。「食べ物が体を作っているんだな」とすごく実感して、最近は野菜とかもちゃんと食べるようになりました。

ラジねえ。:料理のメニューは健康を意識したものなんですか?

彩羽: 全然していないです。でも、外食で「なんでもいいや」と思っていた頃よりは、野菜を足したほうが彩りもいいしおいしいなと気づきました。
あとは味付け。前までは濃ければいいと思っていたし、焼き肉なんてタレをメインで食べているみたいにいっぱいつけて食べていました(笑)。でも、自分で料理をすると、野菜やお肉の“素材の味”がおいしいと初めて知ったし、いろんな食材があっていろんな栄養があるというのを知りました。食が体をつくると言いますけど、本当なんですね。

彩羽: 運動も大事だと改めて気づきました。私、仕事以外で運動をまったくしていなかったんですよ。コロナ禍で外出しなくなったし体を動かす仕事もないし、ずーっと家にいたら体がなまりました。料理のおかげで元気だし肌も綺麗になったけど、太るし体力も衰えて…。そこで、2021年5月ごろから週1〜2回パーソナルトレーニングに通うようになったんです。そうしたら運動に対する意識も変わりましたね。運動って、ただ疲れることだと思っていました。宝塚にいたときは舞台で必然と動かなきゃいけないので、意識して運動するわけじゃなく、やりたいことだから踊っていたという感じだったのが、意識的に腹筋とかを鍛えると、声が出しやすくなるんだとか、体を動かしたほうが、気持ちよく心も元気になるんだとか、そういうことも分かってきました。

“スポーツは表現” 変わった価値観 そして、実現したい夢とは?

ラジねえ。:彩羽さんが実現したいことや目標はありますか?

彩羽: 宝塚大劇場を目の前にして言うのも恥ずかしいんですけど、私のずーっと持っている目標が、約2500人の座席数の宝塚大劇場よりも大きい会場で歌を披露することです。
私は宝塚時代に全然活躍できなくて、何にも輝かずにいろんなファンの人たちや両親を相当傷つけてしまって退団したと思うんです。そのコンプレックスがすごくあるので、大勢の方の前で自分の歌を歌えるように、頑張っています。今は過去の自分を励ましながら生きている感じですね。

ラジねえ。:ミュージカルもスポーツも人にエネルギーを与えられて、自分にとっても良いものだと思うんですけど、彩羽さんは体を動かすことにどんな魅力を感じてますか?

彩羽: ダンスなど表現するときに、小さい動きだと寂しそうに見えたり、人に元気をあげられる動きじゃなかったりするので、やっぱり大きくはつらつと動くことが大切じゃないですか。
運動とかスポーツって、今までは“鍛える”とか“筋肉をつける”、“体力をつける”ことだと思っていたんです。でも、表現することで、人に元気を与えられて、それによって自分も元気になれる。これが体を動かすことの魅力なのかなと感じました。
実は、体を動かしたり運動したりすることがすごく嫌いだったんです。「運動嫌いなのになんで宝塚にいたの?」とか、「運動嫌い嫌いって言っているのに、なんでアイドルで歌って踊っているの?」と言われるんですけど、運動と踊りや表現することは違うものだと思っていました。
でも、去年の東京オリンピックでさまざまな競技を見たときに、この人たちは体を動かしているんじゃないなと気づきました。自分のやりたい“表現”が、たまたま体を動かすことだったんだと感じるように。
スポーツは表現。自分を表現したいとか、誰かを元気にしたいということがスポーツなんだなと、最近になって思いました。言葉にするのは難しいけど、それが魅力です。

ラジねえ。:最後にGrowSを見ている方へメッセージをお願いします。

彩羽: 好きなものや、やりたいこと、夢とか目標って、すっごくキラキラして見えるし、やりたいことがある人や表現できる場がある人はいいなーって思いますよね。そういう人たちはみんな、自分で見つけたことを、自分が努力をして、だから輝いているんですよね。そういう人たちの記事がいーっぱい詰まっているのがGrowSだと思います。ひとりひとりが、なぜその場所に辿り着いたかという軌跡を見るとすごくおもしろくて、それによってより元気づけられたり、自分もやってみようかなと思えたりするはずです。
私自身も今後、体を動かすことも含めて自己表現を頑張っていきたいと思うので、GrowSのいろんな記事を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ラジねえ。コメント

彩羽真矢さんの元気とパワフルさは、他の誰にもない1000%のエネルギーを感じます!
普段は楽しさと可愛さで溢れている方ですが、今の彩羽さんに至るまでの人生の中で相当な努力をされているということ、そして、人間としての強さを一番に感じました。
ポジティブに見えて「実はネガティブなんです」という彩羽さんの言葉が印象的で、過去の経験や努力があったからこそ、今自分の好きなことをしながら輝く彩羽さんの姿がある。だからこれほど多くのファンがいるのだと思いましたし、これからもたくさんの人に最高の彩羽真矢パワーを与えてほしいです!