特集2022.11.16

データ活用でエンタメをもっと豊かに IT系会社員×EDO ALL UNITEDで見えた〝スポーツ×ビジネス〟の新境地

〝スポーツ×〇〇〟をコンセプトに、スポーツにかかわる⼈々の〝熱い想い〟をつたえるメディア、GrowSが今回お話をうかがったのは、国内シェアナンバーワンのSaaS型BIツール「Domo」の営業担当として活躍しながら、本⽥圭佑⽒率いる、EDO ALL UNITEDの経営にもオーナーとして携わる平井孝明( ひらい・たかあき) さんです。「Domo」やサッカーに対する熱い想いで、本業×ライフワークの両⽴を叶えた平井さん。ドーモ株式会社が提供するBIツール「Domo」や⾃⾝のデータ活用に対する想い、ライフワークとして⽇本のスポーツビジネスに携わる魅⼒やEDO ALL UNITEDでの取り組みについて、スポーツ×ビジネスの視点からお話をうかがいました。

〝家計簿アプリの企業版〟で〝データ活用のその先〟へ

平井さんのご経歴と本業として働かれているドーモの事業について教えてください。

平井孝明さん(以下、平井さん):2017年の6⽉にドーモ株式会社に⼊社しました。イベント系の会社からキャリアをスタートし、その後はマーケティングエージェント、⼤⼿ITベンダーを経て、現在、ドーモで働いています。4社を通じて、営業系の部署で従事していたことが多く、ITに関するあらゆるソリューションをさまざまな業界・業種のお客様に提案してきました。

▲(写真/平井さんご提供(写真手前))

Domoは、⽶国ユタ州ソルトレイクシティで誕⽣した会社で、⽇本法⼈設⽴から昨年で10周年を迎えました(2011年8⽉⽇本法⼈のドーモを設⽴)。実は、ドーモという社名の由来は、⽇本語の〝ありがとう〟から派⽣しており、〝どうもありがとう〟と⾔ってもらえるようにという願いを込めて付けられました。
弊社の創業者であるジャシュ・ジェイムズ(Josh James)は、⽇本での居住経験を通じ、「⽇本⼈が(世界で)1番、サービス品質に対するこだわりが強い。そんな⽇本で認めてもらえれば、どの国でも通⽤する」と感じたそうです。
弊社が提供しているのは、〝クラウド型のデータ活用プラットフォーム〟であり、〝家計簿アプリの企業版〟のようなイメージを持っていただけるとわかりやすいかと思います。企業には、営業や製造、物流、会計、⼈事など、さまざまなシステムがありますよね。弊社サービスでは、企業内の各システム内におけるデータの集計作業をすべて⾃動化し、会社の状況を⼀⽬で把握できるような環境を整え、リアルタイムで経営判断ができることを⽬指しています。
また、企業は従来から使⽤されている業務システムを継続して利⽤しながら、弊社サービスを利⽤していただけることも⼤きな特徴です。モバイルアプリとも連携しているので、異常があればアラートでお知らせしたり、メッセージのやり取りをすることも可能です。

▲ドーモが提供するクラウド型データ活用サービス「Domo」(写真/平井さんご提供)

〝家計簿アプリの企業版〟のようなDomo。シンプルでありながらも、企業経営におけるニーズに確実にコミットする、そんな御社サービスのルーツとは?

平井さん:〝BI(ビジネス・インテリジェンス)〟という略語をご存じでしょうか。30年~40年ほど前に、〝ビジネスに知性を〟という意味をもって⽣まれた概念を指すのですが、具体的には、企業や組織における事業上の意思決定のためのデータを分析することで得られる知⾒を重要視する考え⽅です。
私が考えるBIとは、データを可視化し、タイムリーに提供できるだけでなく、その先の〝迅速な判断とアクションにつなげること〟です。そういった意味で、ITにおけるBIの重要度は⾼い割合を占めるのにもかかわらず、最新のIT雑誌などでは、いまだに〝データの可視化〟といったワードが散⾒されます。これは、長い年月を経てもなお、データの可視化のその先にあるデータ活用について、企業や組織が迅速な判断やアクションにつなげていくことに苦慮している、ということの表れだと感じています。こういった課題を解決したかったという発想が、「Domo」のルーツです。
〝データの可視化だけではなぜ上⼿くいかないのか〟という点にフォーカスすると、企業内の各システム内における情報を収集する労⼒のみならず、データの準備や整理、組織やスキルの壁も⼤きな課題であることがわかりました。データ活用には、可視化だけでなく、課題の根本にある背景へのアプローチ、つまりBIツールを超えた、〝データの準備からアクションにつながるすべての工程を、全部まとめて1つのサービスとして提供しよう〟という考え⽅が、「Domo」が描くお客様へのサービス提供の形です。

BIにおける課題の背景へのアプローチから迅速な経営判断を実現する環境づくりまで、企業経営の揺るがぬ基盤づくりに寄り添う、そんな「Domo」を利用されたお客様からの反応はいかがですか?

平井さん:「エクセルやレポーティング作業にかかる膨⼤な労⼒が、⼤幅に軽減された」、「以前は、例えば先月の数字を締めて、今月集計し、改善案を来月実行する、という流れだったのが、今はタイムリーにアクションを改善できる」、「モバイルアプリやアラート、チャットの機能で働く場所や時間を問わず、データに基づくコミュニケーションやアクションができるようになった」という多くの声をいただきます。弊社のサービスは、エイベックスやユニバーサルミュージックなど、多くの⾳楽系やエンタメ系のお客様にご利⽤いただいています。
例えば、⾳楽業界における昨今の消費の主流は、CDではなく、SpotifyやApple Musicなどの定額サブスクリプションによる配信形態です。そういったデジタル化の波に伴って、〝どのアーティストの、なんという楽曲が、どんな配信プラットフォームの、どのプレイリストで、何回再⽣されているのか〟という情報を集めなければなりません。しかし、「Domo」を導⼊後は、毎⽇、担当者が出社して、ブラウザから管理画面にログインして、楽曲や期間を選択抽出、エクセルで集計…という作業がゼロになりました。弊社サービスにより、⾃動でデータが集積・加⼯され、可視化されるので、課題解決のための議論により多くの時間を割けるようになったという声を多くいただきました。

さまざまなシーンにおけるサービスの活用が期待できそうですね。

平井さん:そうですね。コンサートやエンタメシーンの中でも多く活⽤できると思います。オンラインで取れるデータとオフラインで取れるデータを合わせて可視化することには「労⼒がかかる」というイメージがあると思うのですが、そういったデータがパッと⾒られるという前提があれば、様々な施策を打ち出すきっかけにもなると思いますし、それにともなってデータを確認したいというチームやスタジアムの運営組織の皆さんにとって、とても需要があるように思います。「そんなの⼤変すぎてやってられないよ」と思われている⽅にこそ、「Domo」を使っていただきたいなと思います。

〝リアルサカつく〟を東京でー本田圭佑氏率いるEDO ALL UNITEDとは

平井さんがオーナーの1人として経営に関わるサッカークラブチーム、EDO ALL UNITEDについて教えてください。

▲平井さんは、本田圭佑氏率いるEDO ALL UNITEDにて、オーナーとしてチーム経営にかかわっている(写真/平井さんご提供)

平井さん: EDO ALL UNITED(旧:ONE TOKYO)は2020年の3月に、元サッカー日本代表の本田圭佑さんが発起人となって設立されたサッカークラブチームです。発足時は、東京都の4部リーグでしたが、今は東京都の2部リーグ3位という成績をあげています。発足から1年ごとに1部ずつ昇格しており、今年は3年連続の昇格を目指して奮闘中です。

▲EDO ALL UNITEDに所属する選手にレクチャーをおこなう本田圭佑氏

本田さんの〝サッカークラブを東京でつくる〟という(本田さんご自身のSNSでの)投稿を見て、面白そうだなと思い、参加を決めました。「プロサッカークラブをつくろう!(通称・サカつく)」というゲームはご存じでしょうか。サッカークラブの代表に就任し、クラブ運営や試合采配などをおこないながら、世界最強を目指すサッカークラブ運営シュミレーションゲームなのですが、EDO ALL UNITEDが実現しようとしていることが、まさにその〝リアルサカつく〟なんです。
EDO ALL UNITEDでは、組織内の選挙を通じてチームの意思決定をしていく、というプロセスが根付いています。オーナーとしてチームに出資することが前提としてあるので、ベーシック会員であれば1万円、プレミアム会員であれば5万円という会費を払いながら、1人1人がオーナーとしてチームの意思決定に関わっていくというところが特徴です。現在、100名ほどのオーナーがチーム経営にかかわっており、本田さんの繋がりで、武井壮さんや乙武さんといった著名な方から、IP分野に特化された弁理士の方、鉄道系の方、さらに主婦の方や定年退職後の方まで、さまざまなバックグラウンドをもったオーナーが集まっています。

▲EDO ALL UNITEDにおけるオンラインミーティングに参加する本田圭佑氏(写真/平井さんご提供(写真上段左端))

チーム経営の背景には、発起人である本田さんの〝サステナブルなチーム経営〟という考え方があります。
大手サッカーチームであっても、安定的に黒字化して経営できている組織ってあまり多くありません。こういった課題を新しいチーム経営のカタチでカバーしようと考えた時、「スポンサーに頼りきるのではなく、チームのオーナー1人1人の貢献によってチームを盛り立てていこう」という考え方に辿り着きました。
(1人1人がオーナーになることで)責任の分散や「(チームに関わっている)みんなで1つのものをつくっていこう」という動機づくりにも繋がり、僕自身もチームに出資をするだけでなく、チームのことを外で宣伝したいと思うようになり、そのために働いていこうというモチベーションにもなりました。

平井さんはEDO ALL UNITEDでどんな活動を?

平井さん:僕には、EDO ALL UNITEDのIT部長として、「ポイントで(各オーナーの)貢献度の可視化を叶えるシステムを作る」というミッションがありました。なので、まずは①出資したお金がそのままポイントに反映される、②人から贈られたポイントが自身のポイントに加算されるというシステムを設計することからスタートしました。例えば、自分が毎月1万円出資している場合、まずは毎月1万円分のポイントが加算されます。これによって、加入時からの累計の貢献度がわかるようになっています。また、各オーナーに毎月、人に贈る用のポイントが1000ポイントずつ配られているので、「このオーナーに感謝したいな」と思う人にポイントを贈ることで、贈られた側のオーナーの貢献度としてどんどん累積されていく仕組みになっています。

▲EDO ALL UNITEDにおけるポイント累積・加算システム(写真/平井さんご提供)

〝スポンサーに頼りきらない経営〟という形を掲げている中、こういったシステムを実現していくことは、社会実験的な要素も含まれているように感じています。
やはり、スポンサーからの出資比率が大きくなると、民主主義やリアルサカつくを掲げているEDO ALL UNITEDのコンセプトが、スポンサーの意思によって揺らいでしまう可能性があります。なので、チーム全体の収益の半分が各オーナーによるものであれば、それ以上にスポンサーから費用を集めないようにしようということも意識しています。

二足の草鞋だからこそのシナジーが、最大の面白さー本業×ライフワークのすすめ

EDO ALL UNITEDと共に描く、平井さんの今後のビジョンを教えてください。

平井さん:私にとってEDO ALL UNITEDはライフワークのような存在です。ロングスパンでさまざまな取り組みを(チーム内で)打ち出していきたいなと思っています。EDO ALL UNITEDの役職には任期があり、僕が担当していたIT部長の任期も今年の8月で満了を迎えたので、次はCEOの選挙にでることも考えています。

▲平井さんは、CEOに立候補することで、安定的な練習環境の提供やオーナー全員のよりフラットな情報共有を実現したいと考える(写真/平井さんご提供)

というのも、現在、〝EDO ALL UNITEDの選⼿たちがサッカーに集中できる環境をつくる〟という課題があり、各オーナーの⼒を借りながら、あちこち探し回って練習場を確保している状況から、練習場を安定的に準備・供給できるように変えていきたいなと考えています。また、数か⽉間のオーナー加⼊数の動向やチーム内のキャッシュフローなど、会員数の把握やチーム内の会計分野で「Domo」を活⽤していけたらとも考えています。全員で適切な経営判断をしていく上で、各オーナーが把握している情報量に差があってはいけないので、「Domo」で省⼒化しながら、チーム経営の判断材料となる情報を全員がフラットに共有できるような環境を整えていきたいなと思っています。

ドーモ社員としての本業とEDO ALL UNITEDでの活動を並走させているからこそ、見えてくる景色はありますか。

平井さん: EDO ALL UNITEDにはさまざまなバックグラウンドをお持ちの⽅がたくさんいらっしゃるので、各オーナーがもつ要素をチーム内でどのように活⽤できるのかなという部分を考えるプロセスに、シナジーを得られているように感じています。スポーツ業界出⾝者だけのコミュニティではないからこそ、できることがあるように感じており、そこが⾯⽩いなと思っています。
また、IT分野での本業とスポーツチームの経営に関わる活動を並⾛させている中で、スポーツ業界内でのITリテラシーの浸透率の低さに課題を感じています。ITを利⽤したデータの可視化を通じ、〝スポーツビジネスにおける経営判断の材料を豊かにできること〟を、スポーツビジネスに関わられている皆さんにも知っていただけたらと思います。ビジネスのデータは⽇々変化するものであるにもかかわらず、過去のデータをもとに経営判断をおこなうというタイムラグが⽣まれては、データ活⽤の意味がありませんよね。こういった側⾯から、「ビジネス上の売り上げやコストなどに関する最新情報がパッと把握できているか」というシンプルな視点に着⽬していただくことが、第⼀歩だと思います。〝簡単に、早く〟という特徴をもつさまざまなクラウドサービスが世にでてきている昨今、⾃分たちのやっている単純作業や業務をさまざまなサービスで自動化や、置き換えができないだろうかという意識をもつだけで、より適切な経営判断をおこなえる情報収集に繋がっていくのではないかと思います。〝難しく考えず、⾝近なところから少しずつ底上げしていく〟という動きがスポーツ業界全体で生まれてくるといいと感じています。

▲GrowSオンライン取材に応じる平井孝明さん

日本のスポーツ業界は夢があって楽しいースポーツにかかわるチャンスがあれば迷わずチャレンジを

本業とライフワークの両立も含め、平井さんの今後のビジョンを教えてください。

平井さん:僕はさまざまなことに挑戦したいタイプだと思うので、会社や趣味にだけ没頭するのではなく、さまざまなことを並行してチャレンジしていきたいなと思っています。
今後、二足の草鞋以上に、三足、四足となっていく可能性もありますが、サラリーマンとして稼ぎながら、ライフワークとして挑戦したいことを実現するというキャリアとの向き合い方が今の僕には1番フィットしているように感じます。何より、「きっと「Domo」があれば、世界中をちょっとずつ、より良くしていけるんじゃないか」と思っているぐらい、弊社サービスに惚れ込んでいる気持ちがあるので…(笑)。〝働き方の多様性〟が提唱される昨今の風向きも踏まえ、このスタイルをしばらく続けながら、いろいろなことにチャレンジしていけたらと思っています。

GrowS読者の皆さんの中には「仕事(本業)をしながら、スポーツに関わっていきたい」と考えている方がたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。自身のキャリアにおいて〝スポーツ×ビジネス〟を実現されている平井さんから、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

平井さん:エンタメコンテンツの1つとして、日本のスポーツ業界はそんなに悪くないんじゃないかと僕は感じています。DAZN(ダゾーン)が日本のJリーグに多額の出資をしたということは、いわゆる〝(日本のスポーツ業界に対する)青田買い〟だと僕は思っていて。
世界の人口比率や労働力の推移を考慮すると、アジアに経済が流れる動きがあると感じています。そんなアジアで1番サッカーが強い国って、日本ですよね。そういった意味で、日本のコンテンツというのは、世界から見るとすごく魅力的なのだと思いますし、今から日本のスポーツ業界に携わることができるというのはそんなに悪い話じゃないと思います。〝日本のスポーツを世界に売っていく〟という視点で考えると、ゼロイチでやれることもたくさんあると思いますし、面白そうだと僕は感じています。将来的には、アジアの中で日本は重要なポジションにつくことができるんじゃないかなとも思っていますし、夢があって楽しいですよね。〝日本のスポーツに関わることができるチャンスがあれば、迷わずチャレンジする〟という気持ちを、大切にしていただきたいなと思います。

平井さんがオーナーとしてかかわるEDO ALL UNITEDでは、新規オーナーを随時募集中とのこと。
ライフワークとしてスポーツにかかわってみたい、スポーツが好き、スポーツにかかわる仕事がしたい…そんな熱い想いをぜひ、〝スポーツ×ビジネス〟のきっかけを掴むチャレンジに繋げてみてはいかがでしょうか。

(取材/高橋麻菜美、文/秋山彩惠)

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