特集2022.11.21

怪我と向き合った学生時代 Bクラブトレーナーを経て、“バスケに本気”になったキッカケとは バスケットボール競技トレーナー/理学療法士 笹田啓太さん【#わらバスvol.5】

FIBAバスケワールドカップの開催時期に合わせて全国のバスケキッズにコンディショニングを普及する「#わらバス−みんな一緒に、笑ってバスケ!プロジェクト−」。今回は、ミニバスから大学まで選手として競技を続け、現在はトレーナーや研究者としてバスケにかかわる理学療法士の笹田啓太(ささだ・けいた)さんにお話をうかがいました。高校時代に怪我と向き合った経験をバネに、学生バスケやBクラブのサポートを経験された笹田さんの想いから、「誰もが【強く・長く・楽しく】バスケを続けられる未来の実現」のヒントを紐解きます。

「#わらバス」キーパーソン:笹田啓太さん

―笹田さん、ここが噂の “コンディショニングルーム” ですね!
笹田「はい! 今日はよろしくお願いします!」

▲バスケットボール競技スキルコーチ・野村拓矢さん(写真左)と共に「HOOP7東大阪店」を訪問

―【#わらバス vol.4】の野村さんとともに、見学にお邪魔しました。
野村「トレーニングルームに、ベッドが!」
笹田「HOOP7東大阪店の店長さんやスタッフさんのご協力のもと、プレイヤーの皆さんにケアを提供できる環境を整えていただきました。本当にありがたいです」

―レンタルコートのすぐ隣でケアが受けられるんですね。
笹田「はい。HOOP7東大阪店の利用者の方はもちろんですが、レンタルコートは使用せずにケアだけを受けていただくことも可能です。毎週土曜日の夜20-22時に僕がおりますので、ぜひお越しください!」

▶︎【公式HP】HOOP7東大阪店(大阪府東大阪市横枕南4-10) https://www.hoop7.jp/higashiosaka/

―笹田さんと私たちの出会いは、【#わらバス vol.3】にご出演いただいた元ジュニアコーチ・中路さんのご紹介でした。
笹田「久々にワークアウトに参加したり、はじめてインスタライブに出演したり、新鮮で楽しい経験でした。バスケに本気で取り組んでいるノムタクさん(野村拓矢さん)とかかわって、僕の意識が大きく変わったように思います」

▶ワークアウト参加の様子 https://sportinlife.go.jp/news/20220824_1.html
▶インスタライブ出演時の模様 https://note.com/posimedsports/n/ncdfc61b7a29f

野村「えっ、そうなんですか。光栄です!」


▲ケアをおこなう笹田さん(写真/笹田さんご提供)

―嬉しい相乗効果ですね!
野村「今日は後ほど、今あたためているコンテンツに、笹田さんの助言をいただきたいんです」
笹田「僕でよければ、ぜひお願いします!」

【強く】 ミニバス少年がB2バンビシャス奈良のサポートへ

―笹田さんは、病院勤務の理学療法士としてリハビリ治療を施術されている傍ら、大学院生として医科学研究に携わられています。プレイヤーとしてのバスケとの出会いはいつ頃ですか?
笹田「小学校3年生で、ミニバスを始めたのがスタートです」

▲ミニバス時代の笹田さん(写真/笹田さんご提供)

―その後、怪我と向き合った学生時代を経て、現在は競技のサポートに?
笹田「そうですね。学生時代にたくさん怪我をした経験が、今のサポートに活きていますね」

―2022-22の2シーズン、B2 バンビシャス奈良 でご活動されていたんですね。
笹田「はい、トップチームとU-15のサポートを経験させていただきました」

―Bクラブのトレーナーとしてはかなりお若いご年齢だと思うのですが、どのような経緯で…?
笹田「大学生の頃からトップレベルのサポートに挑戦したいという思いがあり、理学療法士としてBクラブに関連のある病院に就職しました。そこから、先輩や上司、他部署の先生方などにお世話になり、ありがたいことにチャレンジする機会をいただきました」

―その経験で得られたことはありますか。
笹田「バスケ現場の現実を知れたことです。Bリーグは外から見ると憧れの世界ですが、綺麗ごとばかりではなく、ギリギリで戦う真剣勝負の世界であることを、身をもって体感しました」

―なるほど。中に入ったからこそ、見えたこと。
笹田「この経験を経て、ますます競技サポートの魅力にのめり込みました。今は高校や大学のサポートに携わっています」

―これからのご活躍に期待大ですね!
笹田「はい!B1クラブや日本代表のトレーナーを目標に、頑張ります!」

【長く】 勝つ喜びを知った後、怪我と向き合った高校時代

―バスケプレイヤーとして印象に残っている出来事を教えてください。
笹田「一番はミニバスです。小学校6年生で出場した市の大会で、ライバルチームと一進一退の勝負をし、はじめて『勝つ』ことの喜びを知りました」

―『勝つ』ことの喜び。
笹田「勝てなかったチームが徐々に勝てるようになり、自分がシュートを決めるたびに沸き立つギャラリーに鳥肌が止まらない中で、バスケをすることができました。僕の原体験で、一生忘れられない思い出です」

―それはすごいご経験ですね!では、バスケ人生の転機は?
笹田「転機は高校時代ですね。入学してすぐに大怪我をして、入院と手術を経験しました。その後、復帰の許可が出てバスケを再開したのですが、本調子に戻れずに怪我を繰り返したんです。当時は『なんで自分ばっかり怪我をするんやろう』と思っていました」

▲怪我と向き合った高校時代の笹田さん(写真/笹田さんご提供)

―なるほど。具体的にはどんなお気持ちでしたか。
笹田「怪我をしがちな僕が苦しかったことのひとつに、先が見えないことへの不安感がありました。『このままバスケを再開しても、また怪我をするんじゃないか』という思いが常にあり、全力でバスケに取り組めていなかったですね」

―大変でしたね…。
笹田「でもここが、トレーナーとしての原点なんです。自分がかかわる選手たちには、『自分のように怪我で青春時代を無駄にしてほしくない』んです」

―強い想いをお持ちなのですね。
笹田「このような経緯もあって、『選手と信頼関係を築くこと』は自分にとって大きなテーマです。そのために選手には、難しい医学用語をわかりやすく噛み砕いて伝えたり、ドクターの言葉を通訳するつもりで話しています」

―笹田さんの言葉がいつも柔らかい理由がよく分かりました。
笹田「選手たちにとって、僕が『安心できる居場所』になれるように心がけています。まだまだ勉強中ですが、自分の原点として、これからも大切にしたいです」

【続ける】 今が一番、『バスケに本気』かもしれない

―ミニバスから今まで、バスケとのかかわりを続けてきた笹田さん。振り返ってみて、どんな面白さがありましたか?
笹田「小学生はとにかく楽しい気持ちが先行していましたが、中学生になると、仲間との切磋琢磨の中で楽しいばかりではない葛藤も生まれて…。今、振り返ってみると、その『思い通りにいかない感じ』が面白かった気がします」

―仲間とのかかわり。
笹田「これは大学生の時も同じように感じました。チームメイトとのかかわりの中で、社会勉強になる部分が多かったです」

―今は大学院生として研究にも携わられていますが、その中ではいかがですか。
笹田「バスケの当たり負けに関する研究をしているのですが、映像分析をしていると、自分が怪我をしがちだった頃に当たり負けて吹っ飛ばされていた理由が、客観的に理解できたりして。これも、今だからこその面白さがありますね」

―本当にバスケがお好きなんですね。
笹田「そうですね。バスケがない人生は考えられません(笑)。その中でも今が一番、『バスケに本気』かもしれないです。時間を割いて全力で取り組むからこそ感じられることがある、と最近気づけました」

―『バスケに本気』になったキッカケはありますか。
笹田「周りの『バスケに本気』な人からの刺激ですね。そのおかげで、自分の世界の見え方が変わったような感じがします。本日来ていただいた、ノムタクさんとの関わりも大きなキッカケです。ノムタクさんっていつも本気なので、僕も本気で応えなきゃと思うんです」

―素敵ですね!
笹田「チームのサポートでは、自分が本気で向き合うことで、『この得点に自分もかかわっている』と思えるようになりました。今まで手を抜いていたわけではないのですが、常にバスケのことを考えていると、景色が変わり、喜びも倍増することを実感しています」

【未来】 トレーナーとしてトップレベルへ挑戦し、学生バスケに還元したい

―これまでのお話で、笹田さんの学生サポートにかける覚悟が伝わってきました。その上で、トレーナーとしてBクラブや日本代表などを目指される理由は、どんなところにあるのでしょうか。
笹田「一番は『コンディショニングに関するプロのシステムを、学生バスケに還元したい』という想いです。そしてもちろん、純粋に、いちトレーナーとして、より高みにチャレンジしたい気持ちもあります。両方の意味で、僕自身がトップレベルを目指す必要性を感じています」

―還元の取り組みとしては、このコンディショニングルームも、そのひとつですよね。
笹田「はい。『自ら自身のケアに取り組める人』を増やしたいんです。この場所はセルフケアの重要性を発信する拠点にしていきたいですね。選手にかかわる人々と課題を共有し、一緒に考えていく必要があると思います」

―『一緒に考える』、具体的なイメージはありますか。
笹田「地域バスケ現場の課題は、コミュニケーションが促進されることで、解決に向かうことが多いように思います。その第一歩として、トレーナーの強みを活かし、コーチの『お悩み相談役』になることが、課題解決の糸口になるのではないかと思っています」

―『お悩み相談役』。
笹田「例えば、コーチが指導した動きを選手が再現できない時、もしかすると筋柔軟性や関節可動域の課題が隠れていて、『その動きを物理的にできない』何らかの原因があるのかもしれません。そこを見抜き、チームが抱える課題の解決にトレーナーとして積極的にかかわっていくことが、『一緒に考える』キッカケになり得ると思います」

―まさに「#わらバス」が目指す「#みんなでつくる プレイヤーズセンタード」なご活動ですね!これからも応援しています。
笹田「ありがとうございます。これからも頑張ります!」

「#わらバス」ヒント: トレーナーがコーチの『お悩み相談役』に

「誰もが【強く・長く・楽しく】バスケを続けられる未来の実現」―笹田さんのお話から、トレーナーがコーチのお悩み相談役になることがヒントになりそうです。「みんな一緒に、笑ってバスケ!」をキャッチフレーズに、実現を目指して前進していきましょう!(企画・取材・文/山岡彩加)

▶「#わらバス-みんな一緒に、笑ってバスケ!プロジェクト−」についての詳細はこちら
https://grows-rtv.jp/project/4594

▶【笹田さんへのご相談】度重なる怪我やプレーのコンディショニングについてお悩みの方へ<笹田さんInstagramはこちら>
https://www.instagram.com/keita_pt/